高齢ドライバーの割合は2000年37.0%→2018年56.6%

ただ、65歳以上の高齢者ドライバーによる死亡交通事故の割合の上昇は、そもそも高齢者の人数自体が日本では非常な勢いで増加しているためだと思われる。また、以前よりもクルマを運転する高齢者が増えているのがもう1つの大きな要因である。

高齢者の人数や比率の上昇、すなわち高齢化の進展については、語られ尽くしている感があるので、ここではあえてデータを掲げず、むしろ、あまりメディアで紹介されないクルマを運転する高齢者の増加についてのデータを以下に掲げた(図表2)。

高齢ドライバーの増加

データは、ふだんの外出の際に自分が運転する乗用車を利用する60歳以上の高齢者の割合の変化である。2000年に日本の高齢者の割合は37.0%であったが、2018年には56.6%に達している。たった20年弱で5割以上の増加である。

ここではグラフにしてはいないが、こうした傾向は60歳以上のどの5歳きざみにおいても同様である。最高齢区分の80歳以上でマイカー外出する割合は、2005年の12.4%から2018年の26.4%へと倍増している。

米国では80歳以上の7割以上がクルマを運転している

これは、モータリゼーションの普及(特に地方圏での)によって、バスなどの公共交通機関が衰退し、マイカーを利用しないと買い物、通院などの日常生活を送りにくくなったためである。パワステなどでクルマの運転が容易になる一方で、高齢者の肉体年齢が若返っていて、かなり高齢になっても運転が可能となっているのも一因であろう(これが若返っていると過信して事故を引き起こす高齢者の身勝手さの印象を一方で生じさせているのであるが)。

こうした状況は、日本だけの現象ではないことが図表2を見れば明らかである。自動車大国米国の高齢者のマイカー外出比率は日本を大きく上回る81.5%に達している。ドイツでも日本よりも高い値となっている。米国においては、最高齢80歳以上のマイカー外出比率も、2005年から2015年にかけて49.0%から71.7%へと上昇している。米国では80歳以上でも7割以上が自分でクルマを運転して外出しているのであり、日本の26.4%などまだかわいいものだといえよう。