沖縄のキャバクラを簡単に説明すると、ほとんどのお客は「キャスト保証システム」で入店する。例えば、4人のお客に対しては2人か3人ほどのキャストがつき、1人当たり4000~5000円(1時間)という料金だ。

しかし、シャンパンを開けたお客たちは、客数とキャストが同数のマンツーマンで入っていた。そのシステムだと1人当たり1時間で1万円となり、シャンパンも入れたとなるとかなり羽振りがいい。

同僚いわく「ヴーヴの中で一番高いお酒を入れてもらったけど、どっちの主張も分からないから選挙には行かなかったよ」と話していた。沖縄では、票集めのためにキャバクラで散財したり、ドリンクを出したりする自民党支持者は少なくない。

“基地反対”デモ参加者が来店した時は

一方で、左派や“リベラル左翼”を自認する人たちは、あまり見かけない。たまに来る程度なので、エピソードは2つしかないけれど、自民党支持者と比較するには十分だろう。

ある日、10数名の団体客がいた。お客同士でばかり喋っている。聞き耳を立てていると、基地反対運動を終えた後の二次会として来店していた。筆者が「運動終わってから来たんですか?」と尋ねてみると、「そうだよ」とだけ答えて、またお客同士の話に戻ってしまった。

あくまで筆者の私見だが、キャバクラは女性キャストと会話を楽しみながらお酒を飲む場所だ。にもかかわらず、お酒だけを作らせて自分たちの話だけで盛り上がってしまうのはよくない。その上キャストに対しドリンクも出さないのだから、店側からしてみれば売り上げにつながらず、最悪と言っても過言ではないだろう。私とは違うお客についていた女性キャストも困惑気味だった。

ケチで会話もしないお客が左派だと気付いたら、キャストとしてはお金を落としてくれるという事実だけでも右派に傾く十分な理由になる。前述のケチな左派は、約束と引き換えにヴーヴを開けたのに、結局佐喜真氏に投票しなかった筆者の同僚に感謝した方がいいと思う。

売り上げのためオジサンに共感してみたが……

左派のエピソードをもう一つ紹介しよう。ネイビーのかりゆしウェアを着たお客のテーブルについたときのこと。途中から入ったので、何の話をしているのかしばらく聞いていた。すると、連れの人に「沖縄は本土に侵略されたんだ。言葉も奪われ、沖縄の文化も希薄になっている」と、熱弁をふるっていたのだ。

熱弁オジサンに共感できる女性キャストは珍しいだろうから、熱意を共有すれば自分の分もドリンクを出してもらえるかなと思った。そして何とか共感してみたものの、結局ドリンクは出してもらえなかった。彼ら左派には、「女性キャストに好かれる≒選挙の時に票が動くかもしれない」という発想がない。かりゆしウェアのオジサンにもらったのは、「今日はとても楽しかったよ!」という感謝の言葉と熱い握手だけだった。

そもそも、右派の客は男尊女卑的なところがあって、左派は男女平等的なところがある。こうして考えてみると、右派の行動は筋が通っている。

しかし、左派は夜の店を利用すること自体が少ないためか、キャバクラでのお行儀がなっていない。そもそも“リベサヨ”を名乗るなら「女性キャストにお酒を作らせる」という飲み方は相性が悪いはずだし、かりゆしウェアのオジサンが握手を求めてくるのもちゃんちゃらおかしな話である。