昔の恋人や若いアイドルが現れる場合
たとえば、学生時代の古い記憶を掘り起こすような出来事が日中にあると、当時自分が憧れていたアイドルやアーティストが夢に出てきたりする、というのはわかりやすい例です。
さらに、そのアーティストと名前の音韻が同じだとか、当時の学校名やサークル活動などと重なる点があったりして、まるで関係のない職場の部下や古い友人の姿や声が、夢に引っ張り出されてくることがあるのです。
すると、目が覚めたときに意外な人が夢に出てきたので気になります。「夢にまで見たのだから、自分はこの人を気にしているに違いない」という認知的なバイアスがかかり、ますます考えてしまいます。これが、「夢で見た人を好きになる」メカニズムだといえるでしょう。逆に「夢の中にまで出てきてあの人は苦手だな」と思う人もいます。どういうバイアスがかかるかはその人の考え方にもよるのです。
人によっては、何度も夢の中に架空の人物が出てきて、恋してしまうということもあります。これは記憶の整理の中でいくつもの異性像がミックスされて作られた理想像なのです。ついには、「出会うべき運命の人を夢に見た!」と予知夢のように思ってしまうことがあります。しかし、夢は常に、自分の頭の中に記憶したものを材料に、自分の脳が作り出しているので、未知なるものをお告げのように見る可能性は低いといえます。