2017年1月の就任以来、アメリカのみならず全世界を引っ掻き回しているのが、アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏。その態度振る舞いにより全世界のインテリからは猛批判を浴びるが、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長を会談の場に引っ張り出すなどの成果もあり、国内の支持率は上昇気味だ。大阪府知事や大阪市長として数々の改革にチャレンジし成功を収めてきた橋下徹氏は、「膠着した現状を打破する」という一点で、トランプ大統領のやり方には学ぶべきことが多いという。そのポイントはどこか。3回にわたり紹介する。第2回のテーマは「優先順位」だ。

※本稿は橋下徹『トランプに学ぶ現状打破の鉄則』(プレジデント社)の「CASE6」から一部を抜粋したものです。

写真=EPA/時事通信フォト
メキシコのチワワ州から見た米国とメキシコの国境の壁の一部=2019年8月28日撮影

メキシコとの壁をつくるのは本当に「けしからん」のか?

トランプは、アメリカとメキシコとの国境に万里の長城みたいな壁を造るとも言った。それに対して、アメリカでも日本でもメディアは「アメリカとメキシコを分断するのはけしからん!!」と批判した。国境に壁を造るのは、多様性、寛容性のある社会を歪めてしまうってね。

でも、ちょっと待ってくれよ。国境に壁のない国なんてどこにあるんだ?

日本はありがたいことに周辺全部を海に囲まれていて、隣国に接していないから、地続きの感覚というのがわかりにくい。でも、他国はほとんど地続きで隣国に接していて、国境の管理を厳格に行っている。そうしないと、犯罪者なんかが隣国を通じてどんどん入国してきちゃうからね。

たとえば、北朝鮮と韓国は地続きになっている。あそこの国境線、北緯38度の停戦ラインはものすごく厳格だ。一歩でもオーバーしようものなら機関銃で撃たれてしまう。それが現実なんだ。