9月5日追記:佐藤さんの活動に対する専門家のコメント

佐藤さんは9月2日、文部科学省で記者会見を行って、署名活動やアンケート調査の結果について報告した。佐藤さんの活動に対して、教育の専門家も会見にコメントを寄せた。

名古屋大学大学院の内田良准教授は、

「中学校や高校ではとくに子どもたちは,担任や部活動顧問との関係が悪くなると,進学や就職,試合への出場などに負の影響が出るのではと考える。したがって仮にまわりに相談をしたとしても,改善が見られないと,そこであきらめてしまう。

訴えた本人やその保護者に不利益が生じないようなかたちで,ハラスメント被害対応の窓口が整備されるべきだ」

と佐藤さんの訴えに賛同の意を示した。

また、子どもの生命や人権を守るため、「いじめ」「学校事故」「虐待」などさまざまな問題の調査や研究を行っている「一般社団法人ここから未来」の大貫隆志代表理事も、内田准教授と同じく賛同する文章を寄せている。

親権者による虐待が相次ぎ、親の懲戒権の妥当性が社会問題化しています。
同様に、学校における教員による「指導」も、指導を背景とする子どもの自殺が表面化し、社会問題化しています。
児童虐待が「しつけ」と称する身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待をもたらしているよう、学校においても「指導」と称するハラスメントが横行しています。その背景には、懲戒権の濫用があります。
学校教育法は、懲戒権について「第11条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない」と定めています。
懲戒権の行使は「教育上必要があると認めるときは」と限定されているにもかかわらず、指導の現場では「あるべき子ども像に近づけるためには懲戒を加えてもいい」と偏った理解がされています。
教員の属人的手法や個人的判断により指導が行われるため、指導と懲戒との境界が曖昧になり、懲戒を加える権利があるというゆがんだ理解が、教員の振る舞いを高圧的なものにしています。本来であれば、子どもに対しては助言的、支援的なかかわりが求められるにもかかわらず、生徒指導の名のもとに事実上の懲戒が、教員の権利として行使されるのであれば、これは私刑、リンチに近いものであり、控えめに言ってもハラスメン卜ではないでしょうか。
児童虐待防止法の及ぶ範囲は家庭に限定され、同様の行為によって被害を受けても、学校であること、教育行為であることから、子どもに対する権利侵害は容認されます。
子どもの人権が、時と場合、場所によって守られたり侵害されたりするのは、著しい不合理です。この不合理を解消するための相談機関の設置は、子どもの命を守るためにも必須と考えます。

内田氏と大貫氏のコメントは、記者会見で佐藤さんが明らかにした。

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