学校の中で相談しても「悪化するだけ」という現実

アンケート以外にも、約450人から意見が寄せられた。その中には、私立学校だけでなく国立大学の附属中学など、国公立の学校でもハラスメントを受けて、相談しても学校側が否定したという体験談があった。

佐藤さんの場合、世田谷学園側は一時、事実関係を認めて謝罪をしていた。しかし、佐藤さんが原因究明と関係者の処分、それに事実の公表を求めると、学園側は態度を変え、現在はパワハラがあったことについても全面否定している。学校の中で相談しても事態は好転しないことを、佐藤さんも実感していた。

撮影=田中圭太郎
佐藤さんが提出した署名の一部

「アンケート調査をしたことで、自分と同じように相談をしても効果がない経験をした人が多くいることがわかりました。学校内で相談した結果、加害者である教員や、学校の態度がむしろ悪化する可能性が高いのです。

いまのままではパワハラがあったことを認めてもらうには裁判を起こすしかありませんが、ハラスメントは証拠を集めるのが難しいため、事実であっても必ずしも裁判に勝てるわけではありません。学校側の弁護人からの心無い主張によって、被害者である生徒がさらに傷つくケースも考えられます。

相談を受けても、その先に向かって動いてもらえなければ意味がありません。だからこそ学校以外に、相談を受けて実効性のある解決策を探ってくれる機関が必要なのです」