「学校からパワハラを受けた際の相談窓口を設置してほしい」。東京都の私立中高一貫校で、中学の担任からパワハラを受け、その後4年間不登校を強いられた男性が行った署名活動に、1カ月で約9000人から署名が集まった。男性は8月末、東京都と世田谷区に署名を提出したが、文部科学省には手渡しによる提出を拒まれた。署名活動のその後を追った――。

「先生から生徒へのパワハラ」をなくしたい

8月28日朝、佐藤悠司さん(20)が分厚い書類の束を抱えて東京都庁を訪れた。書類は佐藤さんが7月17日から1カ月かけて集めてきた署名。「先生から生徒へのパワハラ」をなくすため、生徒が相談しやすい公的窓口の設置を求めるものだ。

「署名は約9000人から集まりました。こんなに集まるとは思っていなかったので驚きました。署名していただいた方には、本当に感謝しています」

撮影=田中圭太郎
署名を提出するため東京都庁を訪れた佐藤悠司さん(20)

佐藤さんは、東京都世田谷区の私立中高一貫校「世田谷学園」で、中学2年生の時に担任からパワハラを受け、高校卒業までの4年間にわたって不登校を余儀なくされた。その経緯は、プレジデントオンラインで詳しく報じてきた(『名門私立"世田谷学園"の教員パワハラ疑惑』『"離婚家庭の子はダメ"パワハラ発言の顛末』)。パワハラが原因で発症した睡眠障害の治療はいまも続いている。

その後、佐藤さんは塾などに通うことで早稲田大学に現役合格し、いまは大学に通っている。しかし、「自分が体験したような『スクールハラスメント』が繰り返されてはいけない」と、署名キャンペーンの発信サイト「Change.org」でスクハラ防止の署名を呼びかけた。