「あごだし」をブレンドしたセブン

では、各社のおでんを見ていこう。定番商品を強くする戦略を貫くセブン。大根や玉子といった鉄板商品のブラッシュアップに加え、要の「つゆ」を大きく変えた。

ファミマやローソンもかつおだしをベースにしているが、セブンは初めて全国の基本のだしにあごだしをプラス。上品なコクが増した感じだ。

「地域の嗜好性に合わせ、全国9種類のつゆをご用意しましたが、基本のだしは冷凍しないかつおで作る鰹節から取っただし、昆布、野菜だし(キャベツ・玉ねぎ)、そしてあごだしをブレンドしています。おでんは低糖質・低カロリーな具材が多いので、野菜の旨味も入ったヘルシーメニューとして推していきたい」(セブン広報)

例えば、つるんとした食感でつゆがらみのいい「つゆだく味しみ白滝」(86円※価格はすべて税込み、以下同じ)は、食べ応えがあるのに一個5キロカロリーしかない。おでんのチョイス次第でヘルシーな食事が完成するというわけだ。

今年からおでんの具材の価格が80円、100円、130円(※税抜きの場合)の3パターンに統一されたので、買いやすくなった。店頭の「お品書き」をチェックしてみてはどうだろう。ちなみに売れ筋トップ3の「大根・玉子・白滝」は全部1個86円だ。

「悪魔のおにぎり」を入れる雑炊アレンジ

次に、ローソンのおでんを見ていこう。特徴は「野菜やチーズ、ひじきなど、具だくさんのおでんだねがオススメ」(ローソン広報)ということ。ローソンのおでんは、購買者層の約6割が女性で、その声に応えて開発を進めたという。

新作のラインアップは、キャベツやくわい、枝豆などが入った「ひじきと5種類野菜のさつま揚げ」(100円)や低温の油でじっくり揚げることで豆腐に気泡を入れて、つゆを染みやすくした「つゆしみがんも」(110円)など、確かに女性が好みそうな創作おでんだねが充実した。

画像提供=ローソン
ニンジン、レンコン、枝豆、きくらげ、キャベツなど5種類の具材が入った、食べ応えある「つゆしみがんも」(110円)

つゆも変わった。「追い鰹製法」を取り入れ、9つに分けた地域の嗜好に合った醤油を使い、旨味とコクが際立つ風味に。

ギョッとしたのが「おいしく食べられるアレンジ法がある」という話だ。

「おにぎりをおでんのつゆに入れて雑炊風にすることで、さまざまな味をお楽しみいただけます。中でも『悪魔のおにぎり』を入れると、青のりの香りが広がるおいしい雑炊にアレンジできますよ」(ローソン広報)

青のりとかつおだしの相性はいいはずだから、これは試してみたい。さらに「つゆに牛乳を入れて、ミルクおでんを楽しむという強者もいます」(同)

なんとフリーダムな! 自分の好きな味にカスタマイズして楽しめるのも、カジュアルなコンビニおでんの魅力だ。

画像提供=ローソン
ローソンの看板商品「悪魔のおにぎり」。白だしで炊いたご飯に天かす、天つゆ、青のり、あおさが入ったくせになるおいしさは、おでんのつゆに入れると旨味あふれる雑炊に変身する