8月、コンビニ大手3社が「おでん」の販売を始めた。コンビニジャーナリストの吉岡秀子氏は「全体の味を決めるのは『つゆ』。かつおベースにセブンはあごだし、ローソンは追い鰹、ファミマは野菜だしをプラスと、各社がつゆを変えてきている」という——。
共通して「昨年よりおいしい」と自信
この夏はとんでもなく暑かった。毎日毎日暑すぎて、さすがにおでんの販売時期は9月にずれ込むんじゃないかと思っていたら、セブンとローソンは8月6日から、ファミマは20日からと、ほぼ連年どおりに。各社の読みはピタッと当たり、お盆を過ぎて「朝夕、涼しくなった」と感じる日が多くなった今、おでんを買い求める人は増えている。
コンビニおでんは、各チェーンが毎年知恵を絞って作り出すオリジナル商品だ。つゆもおでんだねも三社三様。レジ横の鍋をじっくりのぞけば、各チェーンの持ち味がよくわかる。
それぞれの特徴を詳しく見ていく前に、業界全体のトレンドを分析しよう。
大手3社が共通して「昨年よりおいしくなった」と語気を強めたのは「つゆ」だ。コンビニのおでんは、サラリーマンたちが夜な夜な立ち寄る居酒屋の「おでん屋」のものとは違う。客層が老若男女と幅広いうえに、
「ランチタイムに主食と合わせるスープとして、おでんを購入される方が多い」(セブン広報)
「だしの利いたつゆと合うので、おでんだねにさぬきうどんをそろえています」(ローソン広報)
と、時に「おでんだねより、つゆを味わいたい」客が結構いる。
おにぎりやサラダ、サンドイッチ、総菜など「食」のバリエーションが豊かな店の宿命だ。コンビニおでんは、「汁もの」「おやつ」「おつまみ」「おかず」と、ひとつで何役もこなさなくちゃならない。だから、おでん全体の味を決める「つゆ」のリニューアルに、各チェーンは並々ならぬ意欲を燃やすのだ。昨年と同じ味はひとつもないので、試してみる価値はある。