なぜ日本の学校には「運動会」があるのか
チュートリアルとは、教授と学生が1対1もしくは1対複数名で対話する学習方法です。週1回、あらかじめ与えられた課題に関する書籍を数十冊読み、レポートを提出、それをもとに教授が学生に厳しい質問を投げかけます。
少しでも曖昧な回答をすると、“So what?”(だから?)と突っ込まれます。これを繰り返しているうちに、自分の理解不足な点や間違いが明確になり、物事の奥の奥まで興味を持ち、理解する力がついていきます。
突然ですが、ここでちょっとしたチュートリアルをやってみましょう。
運動会は何故あると思いますか? 答えは、集団行動を身につけるためです。では何故、集団行動を身につけさせるのでしょうか? それは、現在の運動会が集団主義を推進する時代にできたものだからです。日本の運動会は、海軍の催しが起源です。また戦時中、子どもの体づくりと集団訓練を目的に、政府が積極的に運動会の実施を働きかけていたのです。
つまり私たちは生まれて成長する過程で、誰かがコントロールしてつくられた、集団主義を身につけさせるための隠れたカリキュラムを仕込まれているのです。
宿題は、将来「残業」をする習慣をつけさせるため
隠れたカリキュラムはほかにもあります。
たとえば授業時間。小学校は45分、そこから進学するにつれ授業時間は延び、大学では90分ですよね。何故こうして時間を延ばすのでしょうか? それは、忍耐力をつけさせるためです。では、どうして忍耐力をつけさせるのでしょうか? 答えは、社会人になってからの長時間のデスクワークに耐えられるようにするためです。
宿題も然りです。宿題は、将来「残業」をする習慣をつけさせるためにあるとも解釈できましょう。
夏休みも、冬休みも、たくさん宿題が出る。だから日本人はバカンスを楽しめないんです。ヨーロッパの人たちは、いかに遊ぶか、人生をどうやって楽しむかを考えます。日本人は、楽しみの部分が非常に少ない。
このように、当たり前だという思い込みを疑う力を、オックスフォードの「チュートリアル」で身につけます。