使えるものは、何でも使う

大学時代の語学留学、大学卒業後に行ったインディアナ大学大学院、そして社会人になってから行ったスタンフォードのMBA。アメリカには留学を3回しましたが、なかでも印象深いのは、やはりスタンフォードです。

オーマイグラス代表取締役社長 清川忠康氏

何より驚いたのは、優秀な人がごろごろしていたことです。私は最初の語学留学のときからスタンフォードに憧れていて、7年かけて英語を仕上げてなんとか入学できました。一方、ルームメートは「スタンフォードしか受けていない」と、自分が落ちることをまったく想定していなかった。私の感覚でいうと、1学年約400人中、半分はナチュラルに優秀な人たち。私はボトム(底辺)のほうで、最初は授業についていくのが大変でした。

ただ、苦労した分、勉強法については私のほうがいろいろ工夫していたかもしれません。

まず意識していたのは、やらないことを決めることです。授業ごとに読まなければいけないものがありますが、量が多すぎて、すべてを正直に読んでいると、とても手が回りません。そこで、要点だけに絞って勉強するのです。

20%のコアなインプットが、全体の80%のアウトプットを決めるという「80対20の法則」をみなさんも聞いたことがあるでしょう。この法則は、勉強にも当てはまります。たとえば300ページを超える分厚い本でも、本当に重要なことが書いてあるのはA4で1枚分くらい。そこを読んで本のコンセプトさえ理解すれば、授業で十分発言ができます。それ以外のところは、無理して読まなくてかまいません。

問題は、読むべきところをどうやって見極めるかでしょう。重要なところを見極めるには、ページの最初からゆっくり精読をするのではなく、全体を流し読みしていき、何度も出てくるキーワードなど重要な箇所をマーキングしながら速読をするのです。読み終わったら、線を引いた箇所を中心にまとめて授業に臨みます。

また、英語の本を読むときは、日本語訳が出ているものは先にそちらを読んで、おおまかなところを把握していました。日本語訳の本を買うとお金がかかりますが、時間の投資効率を考えると高い買い物ではありません。時間は限られているので、使えるものは何でも使うべきです。

Getty lmages=写真

凡人でも工夫次第で成績UP

やらないことを決める一方で、私が力を入れて勉強していたのは英語の発音でした。

じつはスタンフォードの授業では先生のほかにTA(ティーチング・アシスタント)がいて、学生の発言回数を記録しています。発言回数は成績を左右する大きな要素で、回数が少ないと呼び出しを受けます。