子供3人を難関の国立中に合格させた「凄母(すごはは)」がいる。しかも、家事・育児はワンオペで、義父の介護もあった。母親を取材した松本史さんは「目の回るような忙しさのなか、受験対策の勉強法を徹底的に研究・効率化し、無駄を省いた思い切った戦略を果敢に実行したからこそ子供たちを合格させることができた」という――。
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ワンオペ家事育児&義父介護しながら、子供3人を合格に導いた

今年、合格した女子御三家の桜蔭中を蹴って、女子最難関国立附属中に通うAさん(現中学1年、13歳)の母親(44歳)は私たちの取材に開口一番こう答えた。

「わが家の教育の基本方針は、(1)将来を見据えて中学受験はしたほうがいい、(2)受験するなら国立を第一志望とすべし、(3)大学は家から通える国立大に入るべし。そのことを子供たちにはいつも言ってきました」

よってAさんだけでなく、2人の兄も中学受験を経て、現在、名門国立大学附属高、附属中に通っている。現在、小学生の妹も、国立中を目指して勉強中だ。

子供が4人もいたら教育費はかなりの額になる。だからこそ両親は、「私立は学費が高い」「毎月の塾代が○○万円」と子供たちにしっかり伝えてきたという。1円だって無駄にしない気概で勉強してほしかったからだ。

私立難関中と同等に合格するのが難しい、国立中。そこへ子供3人を入れた母親の手腕とはどんなものなのか。しかも聞けば、今、夫は海外単身赴任で、家には義理父母も同居している。義父は要介護だ。家族7人分の家事と介護だけでも、精いっぱいのはずだ。

「子供4人の勉強を同時にサポートできる時間はありません。だから、勉強のサポートは各自、小6の1年間だけと決め、そこに全力を投下しました」

「2倍速の公文」で小4までに中1の実力をつけさせる

具体的には、どのようにして子供の中学受験を支えたのだろうか。

小学生の勉強のレベルなら、その世話をするのは親にも簡単のように思えるが、中学受験で求められる学力は、小学校では習っていないことも出題されるなど、極めて独特かつ難解だ。よって、中学受験塾に通うことは必須となるが、その前にすることがあると両親は考えた。それが習い事だ、

過酷な受験を乗り切るには、幼少期からの教育の積み重ねがものを言う。例えば、サッカーで体力をつける、ピアノの発表会で度胸をつけるなど鍛錬の場をつくることで培われるものは大きい。さらに、日々の中で何事にも諦めない精神力を養っておくことも大切だ。

また、中学受験の下準備として、両親は公文に通わせるという選択した。公文の国語と算数を受講する家庭は多いだろう。しかし、小学校にあがる前から公文に通わせたこの家庭の場合、ちょっと違う。

「目標は、小学3年生の1月、つまり新4年生までに国語と算数(数学)を中1レベルまで済ませておくことでした。そこまでやれば、中学受験の算数でよく出題されるような複雑な計算問題が楽に解ける計算力がつきます。中1レベルが難しい場合もせめて6年生までは終わらせておきたいと思っていました」

そこで、教材の進め方は、基本「2倍速」とした。通常のスピードでは間に合わないので他の子が10枚やるときに20枚やるという方針は、4人の子供全員に貫かれた。

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