“才能”とは、死ぬ気で身につけるものである

岡本健一さんに「努力できる?」と問われてから約15年、ジャニーズがどんな努力や工夫をこらして、自分の人生を歩んできたのかを見つめ、調べてまとめたのが本書です。

共通していたのは、もともと特別な星のもとに生まれた人なんていないんだ、ということ。普通の人が特別なことを成し遂げるための道は、確実に存在するということ。そして、その道は1本ではなく、無数に存在しているということ。活躍の仕方が十人十色なら、そこまでの努力の仕方も十人十色です。

どこにでもいる少年だった彼らが、努力の結果、東京ドームを5万人の歓声でわかせたり、帝国劇場の単独主演記録を塗り替えたり、ひとりでNHKからテレビ東京までの全局にレギュラー番組を持ったり――。

ジャニーズの人たちは、教えてくれました。才能とは、天から授かるものではなく、死ぬ気で身につけるものである、と。

岡本さんと話したあの日から、軽はずみに「ジャニーズになりたい!」とは言えなくなってしまいました。本書を書き上げた今は、尚更です。でも、何者にもなれないと諦めたわけではありません。むしろ、その逆です。

“ジャニーズの生き様”には再現性がある

本書(『ジャニーズは努力が9割』)は「ジャニーズを目指せ!」と鼓舞する本ではありません。「ジャニーズの努力」に目を向けると、人生がちょっと変わる。「現在の自分が思い描いていた自分と違う」とか「もう少し頑張りたい」といった人たちに、自分の人生を変えるヒントを、ジャニーズの生き様の中に見つけてほしいと思ってまとめました。

霜田明寛『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)

“天才ではない人の努力の話”には、再現性があります。第1部で厳選した16人のエピソードの中には、仕事や人生において「未完成な自分がどう成長していくのか」という悩みに対する答えが見つけられるはずです。そしてジャニー喜多川と人を育てる仕組みとしてのジャニーズ事務所に注目した第2部は、誰かを「育てる」立場にある人にもお役に立てるはずです。

「努力は人を裏切らない」とか「人は何にでもなれる」とか「あきらめなければ夢は叶う」という言葉は、一笑に付してしまいたくなる手垢のついた言葉かもしれません。しかし、本書で紹介する彼らの努力を知ってもらった後に、それらの言葉が心の奥底に深く説得力を持つようになれば幸いです。

あなたがそこからどんな夢を持とうとも、それを体現してきたジャニーズの彼らなら、きっと笑わないはずです。

【関連記事】
なぜ「嵐」のファンは大野智を許せるのか
ジャニーズの暗部に触れないメディアの罪
「メモ魔の大誤算」SHOWROOMが経営難に喘ぐ訳
全米の"こんまりブーム"が必ず終わるワケ
NGT48問題を無視し続ける秋元康の無責任