特別公開! 全米オープンを制覇した日の日記

私は実際どんなふうに日記をつけているか。全米オープンを優勝した日の日記を特別にご覧いただこう。

▼2018年9月8日の日記
ぼくらはチャンピオンだ!! 今日、あの若い女の子がなしとげたことは、この先いつまでも人々の記憶に残るだろう。自分もその快挙を手伝ったと思うと、誇らしさでいっぱいで、この気持ちをどう言葉に表していいか、わからない。今、午前4時25分。ホテルの部屋にいるのだが、この二晩ほど、ほとんど眠っていなかった。いまも鳥肌が立っていて、泣いたり笑ったりしている。こんなに感情にもろい人間では困るのだが。

準決勝の後、母と義父のトマスまでが、クロアチアから応援に駆けつけてくれた。夜を徹して6時間も車で走り、14時間もかかるフライトに飛び乗って、二人はニューヨークまでやってきてくれた。なおみを応援するために。実際、世界中から寄せられた応援の声は、信じられないほどだった。あれほどの愛と熱意をもらえたからこそ、こっちも頑張れたのだ。

「なおみは圧巻のひとことだった」

つい数時間前、あのコートで起きたことの意味は、しばらくたっても完全には理解できないだろう。でも、とにかく、けた外れのことが起きたのはたしかだ。スタンドの観客たちの敵意を一身に浴びながら、なおみはよくぞあれほどの冷静さを保てたものだと思う。あのシーンが映画になったとしても、誰にも理解できないにちがいない。観客が発散していたあれほどの敵意は、いままで目にしたこともない——サッカーの試合でも、ホッケーの試合でも。あまりのすさまじさに、自分も途方に暮れたほどだった。いったい、どうすればいいんだ!

でも、そこがまた、自分がこのスポーツに惚れこんでいる理由でもある。いったんコートに立ったら最後、プレーヤーはすべてを自分一人で引き受けなければならない! あの狂暴なまでの敵意を一身に浴びて。それでも素晴らしいサーブをくり出したなおみ。圧巻のひとことだった。