山本氏のスキャンダルをじっくり待つ作戦へ
「れいわ」の躍進を受けて今、日本新党という1990年代に存在した政党が再注目される。細川護熙氏が立ち上げた日本新党は緒戦となる1992年の参院選で4議席確保。翌年の衆院選では35議席獲得して注目を集めた。そして同年8月、党代表の細川護熙氏は非自民連立政権の首相の座に駆け上がる。
「れいわ」は「令和の日本新党」になるのではないか。自民党は警戒している。このあたりの経緯は「山本太郎の『政権奪取宣言』に中身はあるか」を参照いただきたい。
ただし安倍氏は、山本氏のことを過大評価もしていない。今が旬の政治家であることは確かだが、今がピークであることも見切っている。
多くの人も同意するだろうが、山本氏は攻めには強いが守りは弱いタイプ。それをカバーする組織もない。
時間がたてば、スキャンダルが噴出したり、党内で内輪もめが起きたりするに違いないと踏んでいる。また、山本氏のスタンドプレーで野党共闘がぼろぼろになることも考えられる。それだけに、衆院選はしばらく先送りして「れいわ」の自壊を待つという作戦に出たということなのだろう。もちろん、衆院解散を先送りすることで「れいわ」がさらに大きくなり、来年には手がつけられないような勢力になっている可能性もあるが、安倍首相はそうは見ていないということだろう。
幽霊の 正体見たり 枯れ尾花。
「れいわ」は今、政界を揺るがす幽霊だ。それが実体を伴う政権を狙う勢力に成長していくのか。それとも、枯れ尾花で終わるのか。
(写真=時事通信フォト)