○か×か、採点の難易度が高い出題をどう扱うのか

ただし、同じく第2回の「第1問/問1」は、設問の作られ方が“文脈を参照し傍線部を解釈する”という形になっており、したがって解答する上での“自由度”もわりとゆるやかになっている。そうすると当然、他の設問に比べて、採点の難度は高くなることが予測される。

当該の出題内容を紹介しよう(以下はすべて、文科省とともに大学入学共通テストの運営をする大学入試センターのホームページにアップされている第2回試行調査問題・第1問/問1による)。

「第2回試行調査問題」(2018年)の「第1問/問1」。大学入試センターのホームページより。

問題文はある人物が「ヒトと言語」というテーマでレポートを書く際に、以下の2つの文章を参考にした、という前提で、2つの文章を受験生に読ませた上で問いに答えさせる。

文章1は鈴木光太郎『ヒトの心はどう進化したのか――狩猟採集生活が生んだもの』、文章2は正高信男『子どもはことばをからだで覚える メロディから意味の世界へ』だ。

「問1」の問題文は、文章1の中の一節にひいた傍線部「指差しが魔法のような力を発揮する」とはどういうことか、30字以内で書け(句読点含む)というものだ。大学入試センターの解答例(3つ)は次の通り。

【解答例】(第2回試行調査問題・第1問/問1)
例1/ことばを用いなくても意思が伝達できること。(21字)
例2/指さしによって相手に頼んだり尋ねたりできること。(24字)
例3/ことばを用いなくても相手に注意を向けさせることができること。(30字)

大学入試センターでは解答例とあわせて「正答の条件」も示しているので、それも引用してみよう。

①30字以内で書かれていること。
②ことばを用いない、または、指さしによるということが書かれていること。
③コミュニケーションがとれる、または、相手に注意を向けさせるということが書かれていること。

「正答の条件」に合っているか否か見極めが困難な解答への対処

なるほど、例1~例3の解答例についていえば、これらの条件を満たしていると判断することは、さほど難しいことではないだろう。例2の「相手に頼んだり尋ねたりできること」という内容が、条件③に該当するか否かはやや疑問の残るところではあるが、ここではとりあえず、問題なしとみなしておく。

しかし、受験生が以下のような答案を作成したら、どうだろうか。筆者が作成した想定解答例について考えてみよう。

〈想定解答例1〉ことばを用いずに、自己を表現することができること。(25字)

まず、「ことばを用いずに」という部分は、条件②「ことばを用いない(中略)ということが書かれている」と対応しているとすぐに判断できる。では、「自己を表現する」という箇所が、条件③「コミュニケーションがとれる(中略)ということが書かれている」に該当すると言えるかどうか。“自己表現”と“コミュニケーション”は別の内容とも考えられるが、しかしながら解答例の2は「相手に頼んだり尋ねたりできる」という内容で条件③を満たしていると判断している。これはどちらかといえば、“コミュニケーション”というより“自己表現”に属する行為であるようにも思える。と、なると、これは正答か誤答か。判断するのはやや難しい。