レーシックビジネスには致命的な欠陥がある

もう1つ、レーシックビジネスには致命的な欠陥がある。それはリピーターが出ないことだ。

「そりゃそうですよね、一回の手術で視力が回復するんですから、基本2度目はありません。それが歯医者とは根本的に違うところで、私が新規ビジネスとしてお勧めしない点です。リピーターを期待できないというのは、マーケティングでは決定的な欠陥ですから」

そのうえで、なお「私からアドバイスすることがあれば」と公認会計士・税理士の柴山政行氏はこう続けた。

「レーシック一本のクリニックは早晩立ち行かなくなりますが、一般的な眼科として通常の治療、定期的なメンテナンスでリピーターを確実に確保しつつ、プラスαとしてレーシックで集客することはありでしょう」

そもそも10万円を超える高額商品は、購入の意思決定に時間がかかり、信頼性や知名度を高めるマーケティングにも費用がかかる。その点、すでに地域の信頼を得ていればそのコストも節約できそうだ。

「ただ、最初の話に戻りますが、メガネがここまでファッション性の高いものになった以上、そもそも裸眼にこだわる人も少なくなっているのではないでしょうか。だとすれば、レーシック最大のライバルは、JINSやZoff、あるいはハズキルーペなのかもしれません」

柴山政行
1965年生まれ。埼玉大学経済学部卒業。税務、コンサルティングの業務に携わりながら、会計教育を行う。『半分売れ残るケーキ屋がなぜ儲かるのか』『サバイバル会計学』など著書多数。
 
(撮影=横溝浩孝 写真=Getty Images)
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