赤字を垂れ流しながら給与を増やす会社と同じ

自民党がそんな前代未聞の調査をしたのは、官僚任せにしておくと業務がどんどん膨らんでいく傾向があるため。予算を取って来る課長は評価されても、事業を止めて予算を圧縮しても誰からも褒められない。そうした「構造上」の肥大化にストップをかけようという狙いがある。

提言を受けて政府は「業務の抜本見直し推進チーム」を官邸に設置する方向だ。

赤字を垂れ流している会社がリストラも行わず、業務見直しもしないで、毎年ボーナスや給料を増やしていたらどうなるか。民間ならば早晩、倒産を免れない。「民間並み」のボーナスや給与をもらうのが当たり前だと思うのならば、民間並みの危機感を持ち、「働き方改革」を行っていくべきだろう。

国家公務員でも優秀な人材には高いボーナスを支払うことに誰も異論はないだろう。だが、そのためには、全体の仕事の仕方を見直し、本当に必要な事業に絞り込んだうえで、優秀な人材を確保するために、高い給料やボーナスを支払う。そうした仕組みを、国が破綻する前に作る必要がある。

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)
経済ジャーナリスト
1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年に退社、独立。著書に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。
(写真=時事通信フォト)
【関連記事】
公務員の給与が5年連続で増え続けるワケ
「宝くじ1等6億円」確実に当選する方法
富裕層は「スマホ」と「コーヒー」に目もくれない
地銀マンの給与はバス運転手と同じになる
会社が絶対手放さない、優秀人材6タイプ