「国の借金」は1100兆円を超えている

周知の通り、日本政府は慢性的な赤字体質を続けている。国債の返済や利払いなどを除いた通常ベースの歳出が、税収で賄えているかを示す「プライマリーバランス(PB)」は、いまだに赤字が続いている。国債発行残高など「国の借金」は1100兆円を超えた。

安倍晋三内閣は当初、2020年度にPBを黒字化することを目標としてコミットしてきたが、事実上、これを断念している。一方で、2018年度の一般会計税収は60兆4000億円と、これまで最多だったバブル期の1990年度(60兆1000億円)を超え、過去最高になった。10月には消費増税も控えており、2019年度の税収も大きく増える見込みだ。

にもかかわらずPBが黒字化しないのは、ひとえに歳出を抑える努力をしていないからだ。景気対策を優先して公共事業などを大幅に増やしていることもあるが、霞が関の人件費や、霞が関が行う政策経費を削減しようという動きにならない。

政府が「スリム化」する方向性はまったく見えない

2019年度の公務員人件費(予算)は5兆2826億円と、前の年度に比べて349億円増加する見込みだ。国家公務員の人数も57万8000人と1000人増える。まったくスリム化する方向性は見えないのだ。一時、自民党も野党も、公務員人件費の2割削減を掲げ、マニフェストなどに盛り込んでいた。最近ではすっかりそうした主張も下火になっている。税収が増える中で、リストラ機運が失われているのだ。

6月、自民党の行政改革推進本部(本部長・塩崎恭久衆院議員)が、霞が関の政策立案に関わる部署の「業務量調査」を行った。「国会答弁回数」や「所管委員会への出席時間」、「質問主意書への答弁書数」「審議会開催回数」「訴訟での被告件数」を調べ、定員1000人当たりの「業務量」で集計した。結果、圧倒的に厚生労働省の業務量が多いことが判明した。