ホテルの宴会場で大新年会を開催

「船橋屋」では、すべての社員、すべてのパートスタッフが、共通の目的や認識を持って、共通言語で語り合い、一人ひとりがチームの一員として光輝くことで、「皆が主役」であると実感してもらう機会を提供しています。

2019年に開催された新年会(写真提供=船橋屋)

その象徴的事例が「新年会」です。

そんなものはどこの組織にもあるじゃないかとお思いでしょう。しかし、「船橋屋」の新年会というのは、皆さんがイメージするような「会社の飲み会」ではありません。

まず、パートスタッフを含むすべての社員にはスーツやドレスで目一杯のおしゃれをしてもらいます。ホテルの宴会場をお借りし、和食や洋食、中華などの料理が並ぶ、さながら結婚式の披露宴のような雰囲気のなかで行なわれます。

何も気取っているわけではなく、この日は「船橋屋」で働くすべての人たち一人ひとりが「主役」になる日だからです。

新年会が始まると、まず私から今年のビジョンを話します。次に、来賓の方たちからご挨拶をいただくまではどの会社でもよくある新年会です。

ところが、その後に始まるのが、「表彰式」です。

昨年を振り返って、部門や職種ごとに大きな貢献をした人、結果を出した人、長年尽力してきた人などを「年間MVP」「店舗オブ・ザ・イヤー」「パート・オブ・ザ・イヤー」などと銘打ち、次々と壇上に招いて、私から賞状と金一封を渡していくのです。

本人よりも周囲が受賞を喜ぶ

誰が表彰されるのかというのはこの瞬間までわかりませんので、この「表彰式」はいつも大盛り上がりします。名前を呼ばれて、飛び跳ねて大喜びする者、予想していなかったのか、思わずうれし泣きする者、大興奮でプレゼンターの私に思わずハグするパートの方もいます。

表彰者の皆さんから一言もらって、記念写真を撮っていきます。毎年、来賓の方たちも「とても老舗の新年会とは思えず、ベンチャー企業のパーティのようだ」とその熱気に驚かれています。

みんなが選ぶ「主役」だから不平・不満が出ない表彰式が大盛り上がりだと述べましたが、何も表彰者だけが盛り上がっているわけではないのです。むしろ、本人よりも上司や同僚、後輩など周囲の人たちのほうが数倍も喜びを表現しています。

同僚として頑張っていた姿を誰よりも真近で見てきた。新入社員の時から成長していく姿をずっと見守ってきた。そのような周りの人間たちが、仲間が評価されたことを、自分のことのように喜んでいるのです。

たしかに表彰者という「主役」は一部の人たちですが、彼らの仲間たちもその喜びを「共感」することで、結局のところ、「皆が主役」となるのです。