竜田揚げが肉団子になって150円高くなった
安価で人気があった定番商品「大戸屋ランチ」(720円)がなくなったのも大きい。「大戸屋ランチ」は、竜田揚げ、かぼちゃコロッケ、目玉焼き、サラダ、ご飯、みそ汁、お新香がセットになった定食だが、今年4月の値上げのタイミングにメニューから消えたのだ。これで「ランチ」と名の付く商品はなくなってしまった。
その代わりとしてか、似たような定食として「大戸屋おうちごはん定食」(870円)が新たに加わった。使われている食材は「大戸屋ランチ」とほぼ同じだが、竜田揚げではなく肉団子になっている。食材の面ではこれ以外の大きな違いはない。
大きく異なるのが価格で、「大戸屋おうちごはん定食」は「大戸屋ランチ」より150円高い。内容が異なるので値上げとは言い切れないが、利用者に「高くなった」という印象を与えたことは否めないだろう。
値上げにより客単価は上昇したが、4月の客数が8.0%減、翌5月が6.4%減とどちらも大幅マイナスとなり、既存店売上高は4月が5.0%減、5月が2.7%減と低迷した。値上げで補うことができないほど、客数が減ってしまったわけだ。
かつての主要価格帯は600円台だった
バイトテロは突発的な出来事のため、この影響はいずれなくなるだろうが、値上げによる価格帯の上昇は今後の集客に恒常的に影響するといえる。
大戸屋の業績は厳しい状況にある。19年3月期の連結決算(5月13日発表)は、売上高が前期比2.0%減の257億円、本業のもうけを示す営業利益は34.7%減の4億1400万円と減収減益となった。店舗数が伸び悩んだほか、既存店の不振が響いた。最終的なもうけを示す純利益は、販売不振などから国内直営店の減損損失2億8300万円を計上したことが影響し、73.0%減の5500万円と大きく落ち込んだ。
かつて大戸屋の主要価格帯は600円台だった。庶民的な定食屋のイメージが強かったが、段階的に価格帯が引き上げられ、いつの間にか高級定食店に変貌してしまった。現在、グランドメニューの定食はほとんどが800円台と900円台に設定されている。800円未満のものは、そば、うどんといった単品商品だけだ。外食チェーンの中では高額の部類に入るだろう。