アンチ不在、ファンだけが集うから安心

メディア関係者やライバルが情報収集などの意図を持って入会することもあるかもしれませんが、基本的にアンチは不在。ファンばかり集うという設定だから、オンラインサロンの中なら管理者たちも居心地がいいし、意図しないことで炎上が起きるような心配も格段に減ります。

もちろん、開設した事情は人それぞれだと思いますが、話を聞く限り、ほとんどの管理者は、これまでのような全公開型のSNSに対する疲れや諦めを感じた結果として、こういった仕組みを自ら選んでいるようです。

それもそのはず、今SNSを通じて発した発言が、一部だけ切り取られて変に解釈されたり、悪意をもって捉えられたりするなどして、まるで意図していないような内容で広まることは頻繁になっており、だからこそそれを否定するために割かなければならない労力も甚大になっています。

ツイッターで「スタッフが運用しています」と宣言する理由

あらゆるところにインターネットを持ち歩けるようになった現在、悪意も爆発的ともいえるほどに広がり、しかも輪郭が溶けて全容が見えないため、想定を超えたところまで、いとも簡単に届いてしまう。だからこそ、企業や著名人などは、これまで以上に、SNSでの発信については慎重に考え、トラブルを未然に防止する、もしくはSNSをあえてやめる、という戦略をとるようになってきたのでしょう。

たとえば以前、ある人気歌手が自身の「Twitter」のアカウント上で「今日からスタッフが運営し、最新情報を発信するアカウントになりました」などとアナウンスし、突如その管理を手放したことが話題になりました。

はじめから「スタッフが運用しています」と言い切っておけば、トラブルが生じたとしても、そのまま歌手本人にまで被害が及ぶことは少なくなるだろうし、手間も格段に減ります。つまりSNSはリスクがありすぎて、それを最小限にすることを追求した結果、他者が本人に代わって発信するような状況にまでなっている。こうなれば、もはや実際は誰のアカウントなのかもわかりません。

結局、インターネットの世界の広がりによってリスクが高まりすぎたあまり、現実世界の存在まで危うくされ、やむなく私たちはその世界を閉じることを選んでいる、ということなのでしょう。