事故後に出勤するとお金がもらえない!

続いて、「休業損害」。これは、事故で仕事を休むことで発生する損害に対する賠償金である。事故前3カ月分の月収を日数で割って日収を計算し、それに休業日数をかけることで算出する。年収800万円の男性が右脚骨折で仕事を60日休む場合、休業損害で132万円が支払われる。しかし青木弁護士によれば、計算が煩雑なため、被害者は賠償金の金額がわからず、弁護士をつけない被害者が請求を諦め、出勤してしまうケースもあるという。

そして事故後には、「後遺症慰謝料」を請求する手続き、後遺障害等級認定申請が必要だ。まず、弁護士が医院に「後遺障害診断書」の発行を依頼し、それを損害保険料率算出機構に提出する。すると後遺障害の程度が認定され、給付される金額が決まる。このケースだと脚の関節に機能障害が残る12級7号に該当する可能性があり、裁判基準で290万円が支払われるが、無申請なら、もちろん支払いはない。

また申請しても弁護士がついていない場合、医師とのコミュニケーションがうまくいかず、本来認定されるはずの等級で認定されないケースもある。この場合、下がった等級をベースにして慰謝料が計算されるため、今回のケースでは14級9号の慰謝料、110万円になってしまう可能性がある。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kadmy)

最後は「後遺症逸失利益」。これは、後遺症のせいで減るであろう将来の収入分を請求するものである。

このケースでは、例えば右脚骨折の後遺症で歩く速度が落ちて、営業先を回るのに支障をきたし、商談の機会を逃すといったものだ。この男性が今後17年働く場合、損害賠償額は1200万円前後となるが、こちらも個人で請求した場合は2年程度の認定にとどまってしまい、約36万円の支払いしか得られないこともあるという。

以上が交通事故被害に遭った際の試算だが、弁護士がつくと損害賠償金が増額し、「次に何をすべきなのか」が明確になり、賠償金を得る準備がしやすくなることがわかる。

そして気になる弁護士費用は、被害者が自動車保険の弁護士費用特約に入っていた場合、保険会社から支払われるため費用はかからない。

仮に特約未加入の場合は、賠償金の10~20%程度が相場となる(編集部調べ)。今回の場合、約174万円がかかる(10%で計算)が、その分を差し引いても得られる金額は1572万円。

弁護士をつけなかった場合は232万円しかもらえないため、じつに1340万円も手取りが増える計算だ。これが、「交通事故は無料で弁護士が呼べる」からくりだが、無料どころか大きなお釣りが来るのである。

青木健悟
第一東京弁護士会所属。相続や交通事故のほか、離婚問題や少年事件などにも注力する。英語のほかタイ語にも明るく、外国人関連の案件にも強い。
 
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