さんざん待たせた上に「今回はやっぱりやめにしときます」

しかも、それでビジネスがスタートするのなら、まだマシかもしれない。

何度も何度もミーティングを重ねて、インド側企業は質問を受けて、調査もさんざん受けたにもかかわらず、最後に、

「いやー、今回はやっぱりやめにしときます」

などというケースも実際に多々ある。もちろん、そうなった際の「前のめり」なインド人実業家のガッカリ感たるや相当なものであることなど、いうまでもない。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Deepak Sethi)

インド進出したい企業は世界中にヤマほどある

ゼロ成長が続く日本と異なり、毎年6~7%台の経済成長を続けるインドに進出したい企業は世界中にヤマほどある。たとえるならインドは、「オレとつき合ってくれ!」と言い寄る男性があとを絶たない、何ともいいようのない魅力を持つ女性のようなもの(このたとえ、もちろん男女逆でもかまわない)。

で、そんなライバルが大勢狙っている異性を前にしているのに、

「いやぁ、ちょっと待って。まずは姓名判断をして、あとはうちの両親に相談をしないと。あ、ボクはおばあちゃん子だから、おばあちゃんの了解もほしいな」

と言っていたらどうなるだろうか。当然、選択肢がたくさんあるその魅力的な女性は、すぐに別のイケてる男性のもとに走ってしまうに決まっている。

とにかく、インド側の富裕層やビジネスパーソンの間では「日本企業は動きが遅い」、言い換えると「メンドくさい」という見解が広がりつつあるということだ。

野瀬 大樹(のせ・ひろき)
公認会計士・税理士
大学卒業後、監査法人にて法定監査業務に従事。2009年に退職し独立。その後2011年、インド・ニューデリーにコンサルティング会社を設立する。現地では珍しい独立系会計士として、日本企業のインド進出支援、インド企業の日本進出をサポートしている。ベストセラーとなった『20代、お金と仕事について今こそ真剣に考えないとヤバイですよ!』のほか、『家計簿が続かない人の貯金革命』(以上、クロスメディア・パブリッシング)、『「結婚」で人生を黒字化する!』(祥伝社)、『自分でできる個人事業主のための青色申告と節税がわかる本』(ソーテック社)など著書多数。Twitterアカウント:@hirokinose
(写真=iStock.com)
【関連記事】
なぜ日本企業はアメリカで通用しないのか
富裕層は「スマホ」と「コーヒー」に目もくれない
ヤバい病院は「待合室」を見ればモロバレ
イタリア人が日本で必ずイタ飯を食べる訳
外国人の質問「神社と寺の違いは」神回答