「高齢者を切り捨てるつもりはまったくない」
――ラジコに注力することは、ネットを使わない高齢者を切り捨てることじゃないか、という指摘もあります。三村社長はどう答えているのですか。
【三村】高齢者を切り捨てるつもりはまったくありません。ただし、いま10代や20代のラジオリスナーって、高齢のリスナーの10分の1くらいしかいないんですよ。
ラジコはラジオメディアを将来につなげてくれる存在だと思っています。数少ない若いリスナーの多くはラジコを使っているんです。もしラジコがなかったらと思うとゾッとします。ラジオが、10代や20代にはまったく接触できないメディアになっていたかもしれないわけですから……。だからラジコによって若いリスナー層が増加してきたということが、今度の戦略を立てる大きなポイントになっています。
――そういう流れと関係あるのでしょうか。ここ数年、長寿番組が相次いで終了したので、とても驚きました。
【三村】番組の改編は今回の流れとはあまり関係ないと思います。編成には編成の考えがあるので、ラジコの時代になってきたという話とはちょっと別です。
土曜日の夜にあえて「中高生向け番組」を立ち上げた
――ラジコのマーケティングデータを指標にすればPDCAサイクルが速まりますから、新しい番組を試しやすくなったのだと思っていました。
【三村】編成は常にチャレンジなんですよ。去年4月にもナイターをやめて「アフター6ジャンクション」を立ち上げました。また土曜日の夜には中高生向けに「TALK ABOUT(トークアバウト)」という番組を立ち上げています。これなんかはすぐに結果は出ませんよね。だって、中高生はラジオをほとんど聴いていなかったわけですから。でも頑張って続けているうちに、手応えも出てきています。
――つまり編成的なチャレンジは昔からあった、と。ですが、この数年はナイターの廃止など立て続いている気がします。
【三村】そうでもないです。どの局でも同じようなものだと思いますけど、2~3年に1回はこういう大きな改編はあると思います。編成については大げさに言えば、続けるのか、改修するのか、常に検証しているわけですから。30年やってる番組だってそうです。