転職市場で自分の価値を高めるために「1つの専門知識を極めて100人に1人の人材に、別の知識を身に付けてさらに100人に1人=1万人に1人の人材になる」という方法がある。だが、人事・戦略コンサルタントの松本利明氏は「この方法を繰り返しても、オリジナルの存在にはなれない」と指摘する。どうすればいいのか――。

※本稿は、松本利明『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

キングコングの西野亮廣さんが伝えたやり方だが……

1つのキャリアを5年~10年ほど経験して1人前となり、その掛け算で希少性を獲得しましょう――この「100人に1人」の領域や実績をつくり、それを3つ掛け合わせると唯一無二のオリジナルの存在になれるというキャリア形成の話はきいたことがあるでしょう。

元リクルートの藤原和博さんが提唱され、キングコングの西野亮廣さんを含め、今、時代を動かしている識者が伝えているものです。

たしかに、藤原さんや西野さんがご自身の例をもとにした解説をきくと納得感があります。しかし、普通の人がご自身の経験や実績からこの方程式で自分をブランド化しようとすると成り立たず、悩むのです。

ひとつやってみましょう。あなたが「人材紹介の営業マン」だとしましょう。

最初は普通に今の仕事を置いてみましょう。

営業×

続いて、経験や知見がある。相性がよさそうな分野「マーケティング」を掛けてみましょう。

営業×マーケティング×

かなり、よさそうですね。最後に業界の「人材紹介」を掛けてみると、

営業×マーケティング×人材紹介=普通の人材紹介の営業マン
※写真はイメージです(写真=iStock.com/bee32)

とループしてもとに戻るのです。普通に働いているとこの「3つ目」に掛けるものが中々見つからないのです。

なぜかというと会社は、今、あなたが担当している仕事を基本にして、できそうな仕事しかアサインしてくれないからです。

なぜなら、毎回一から新しい仕事を覚えてもらうのは時間もかかります。会社はあなたに現場で成果を出してもらうことを第一に考えるので、どうしても関連した仕事を任せるか、よくて同じ仕事で昇進になってしまうのです。