着替えなどで多機能トイレを使う人がいる
介助が必要な肢体不自由者にとっては、介助者と一緒に入れる広さが必要です。おむつ交換などの際には、簡易ベッドを使うこともあります。また、温水洗浄便座があれば、事後の処理が簡略化でき、介助者の心理的・物理的負担が減るとともに、障害のある人の心理的負担も減り、自立につながります。
そのほか、乳幼児連れの人や高齢者が使うこともあります。おむつの交換台やベビーチェアがある多機能トイレなら、ベビーカーごと入れますし、手すりがあると高齢者は立ち座りがスムーズにできるからです。
近年ではトランスジェンダーの人がストレスなくトイレを使用できるよう、多機能トイレに「オールジェンダー」と表示する企業や施設も出てきています。一方でかえって周囲から注目されてしまうという矛盾もあります。
トイレットペーパーを補充すべき理由
さまざまな人に使いやすく作られた多機能トイレですが、使い方には注意が必要です。便座をあげたり、可動式の手すりを動かしたり、簡易ベッドを使ったりした場合は、必ず元の位置に戻すようにしましょう。腕をあげることが難しい人にとっては便座をさげるのが大変なこともありますし、簡易ベッドが広がっていると、車いす使用者が移動しにくくなります。
もしトイレットペーパーを使い切ってしまったら、次に使用する人のために補充すると親切です。ストックしてある場所に手が届かないという人がいるからです。また、トイレ内の閉ボタンを押してから外に出てしまうと、施錠されてしまうことがあるので、要注意です。
多機能トイレを設置している運営側にも、知ってほしいことがあります。足踏み式のゴミ箱が設置されていることがありますが、車いす使用者にとっては利用しづらいのです。また、両足がしっかりと床についていないと、座位を保つことが難しい人もいます。そうした人のために、便座の近くに足を置く台があると、なお良いでしょう。
また、清掃時に使用ができないと、他に選択肢のない人は本当に困ります。時間をかけて清掃するのは、開店前にするなど、調整をしてほしいところです。多機能トイレの周囲に段差があったり、重い扉を開けないとアクセスできなかったりする施設も見られます。多機能トイレを設置することが目的ではなく、必要としている人に使用してもらうことが目的であることの理解が必要と考えます。