今月に入ってから内閣支持率はむしろ上昇傾向にある

衆院補選は惨敗したが、自民党は統一地方選前半戦の41同府議選で過半数を維持し、議席占有率では前回を上回った。知事選では福岡、島根などで自民党が推す候補が敗れたが、勝った候補も、もともとは自民党と近い。保守分裂したダメージはあるが野党に敗れたわけではない。野党の議席は総じて伸び悩み、地方選では自民党が独り勝ちだったといってもいい。

今月に入ってからの報道各社の世論調査をみると、内閣支持率は40%台後半から50%程度で安定しており、むしろ上昇傾向にある。国土交通副大臣だった塚田一郎氏が「忖度発言」、五輪相だった桜田義孝氏の一連の問題発言で辞任するなどのマイナス要素はあるが、「新元号」「改元」「新札」によるポジティブな情報発信の方が、勝っているのだろう。

5月にはトランプ米大統領が来日。6月には大阪G20首脳会合が開かれて華やかな首脳外交が繰り広げられる。外交でポイントを稼ぐのは安倍氏が最も得意とするところだ。

さらにスキャンダルが露呈する前に解散してしまう

自民党幹部の1人は、こうつぶやく。

「大阪と沖縄で負けたといっても、両府県とも自民党は野党の所。他の45都道府県が同じということにはならない。そう考えれば今、解散のタイミングとしては悪くない」

今の政治状況は2014年11月に衆院解散した時と似ている。この時は経済産業相だった小渕優子氏、法相だった松島みどり氏が「政治とカネ」の問題で辞任。自民党に逆風が吹いていたが「さらにスキャンダルが露呈する前に、野党の準備が進まないうちに」という判断で安倍氏は衆院を解散。そして勝った。

より悪くならないうちに勝負に出る。安倍氏はそういう判断をする傾向がある。

解散風を最初にふかせたのは萩生田光一党幹事長代行。18日、インターネットテレビ番組に出演して消費税増税の延期の可能性に触れ、その場合は「信を問う」と語った。萩生田氏の発言の読み方については「消費増税凍結を発言させた安倍首相の狙い」で詳しく紹介しているので、参考にしていただきたい。