自分を過信せず、実績には客観性をもって対峙する

自分を過信せず、実績には客観性をもって対峙する。それができる人と一緒に長く働きたいと思うのは、私だけではないはずです。

「高家さんは柔軟ですよね」

カインズ前社長で現在は会長を務める土屋裕雅がこう私に言ったことがあります。別の会社(ミスミグループ本社)で社長を務めた経験のある私をカインズへ誘ったのは創業家出身の土屋です。

前職で私は5年間社長を務め、その間、リーマンショックを経ながらも売上高、利益とも約1.6倍に伸ばしました。そのことには多少の自負もあります。しかし私は、カインズの社長として前職のときと同じ経営スタイルを続けようとは一切考えませんでした。前職時代の仲間がいまの私を見たら、別人のようだと思うのではないでしょうか。

機械商社のミスミグループ本社とホームセンター運営の当社とでは、業種も社風も社員の性格も違いますから、経営スタイルも違って当たり前。そして数字に表れた実績も、自分1人ではなくチームや時勢に助けられてのこと。

自分のことですから気恥ずかしいのですが、土屋が「柔軟ですね」と言ってくれたのは、そういう考え方が私の行動にも表れていたからだと思います。その期待に応えるには、当社でも実績を上げ続けなければならないのですが(笑)。

▼高家流 一流の条件
●人柄を見る5分の雑談
●長く一緒に働ける人か
●判断には五感を総動員
高家正行(たかや・まさゆき)
カインズ社長
1963年3月、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。三井銀行、A.T.カーニーを経てミスミグループ本社へ。2008年から社長。16年カインズ取締役、副社長を経て19年3月から現職。
(構成=山口雅之 撮影=永井 浩 写真=iStock.com)
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