オスとメスの「異業種交流会」で効率よく遺伝子を交換する

自分にないものを求めて遺伝子を交換するのだから、せっかく手間を掛けて交換しても自分と同じような相手と遺伝子を交換したのではメリットが少ない。

たとえば、人脈を広げようと異業種交流会に参加したときのことを想像してみよう。会場に出向けば、みんなネクタイにスーツ姿。業種も仕事もわからない。張り切って名刺を交換してみたが、集まった名刺を見るとみんな同じ業界の人ばかりだった。

これはこれで、同業者の人脈としては活かせるかもしれないが、異業種の人と出会おうと交流会に参加した意味はない。それならば、見た目でわかるようにしてはどうだろう。たとえば、飲食店関係は赤いリボンをつける。建築関係は黄色、IT関係は緑色というように、リボンの色を変えてみる。そして、違う色のリボンの人と名刺を交換するようなルールにするのである。そうすれば、異なる業種間で名刺を交換するという目的を効率良く果たすことができるだろう。

つまり、やたらと他の個体と交わるよりも、グループを作って、異なるグループと交わるようにすれば効率が良いのである。

ゾウリムシは、二つの個体が接合して、遺伝子を交換すると紹介したが、ゾウリムシには、いくつかの遺伝子の異なるグループがあり、その間でだけ接合して遺伝子を交換することが知られている。

単細胞生物のゾウリムシは細胞分裂をして増えていくため、自分のコピーしか作れない(写真=iStock.com/NNehring)

オスとメスという二つのグループも、同じ仕組みである。

リボンの違うグループが交流して異業種交流が成功するように、オスとメスというグループを作ることによって、より遺伝子の交換が効率的になるのである。オスとメスというグループ分けは、こうして作られたのである。

(写真=iStock.com)
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