国民民主党からの引き抜きも否定せず「何でもあり」

当然ながら会見では「6」に質問が集中。「2017年の衆院選では希望の党(国民民主党の前身)の候補がいる選挙区に立憲民主党は候補を立てなかったが、今回はそうではないのか」との質問に対し、枝野氏は「その後の政治状況の中で、野党第1党という立場から、政権を担えるような候補者を擁立していく責任を負っている。前回とは事情が違う」と回答。事実上、他党に手を突っ込むことを認めている。

さらに記者団から「擁立する候補は、国民民主党の現職も含まれるのか」という直球の質問があった。枝野氏は、まず「参院選で連携しているので、それは失礼だと思う」と答えたので、「国民民主から引き抜くことはない」と語るのかと思いきや、「書いてあるとおりです」。国民民主党からの引き抜きを否定しなかった。

つまり、国民民主党の現職のいるところに候補者を擁立するかもしれないし、国民民主党の現職を引き抜くこともあるかもしれない。「何でもあり宣言」なのだ。

「視力検査並み」の支持率にとどまる他の野党

他の野党、国民民主党、自由党、社民党などからすれば、枝野氏の発言は「悪い予感が的中した」というところだろう。最近、立憲民主党の「拡大主義」が他党を刺激することが少なくないのだ。

立憲民主党は、国民民主党公認で衆院選出馬の準備を進めていた元東京都議の塩村文夏氏を参院選候補として擁立する方針を決めた。先月には、社民党の杉並区議・市来伴子氏を参院選山梨選挙区に擁立することにした。これには、普段立憲民主党に理解のある社民党の又市征治党首も「野党共闘にひびが入る」と怒り心頭だった。

NHKの世論調査(3月8日~10日)によると、立憲民主党の支持率は5.5%で野党ではトップだ。36.7%の自民党と比較すれば足元にも及ばないが、1.1%の社民党、1.0%の国民民主党、0.2%の自由党と、「視力検査並み」の支持率に止まる他の野党と比べると圧倒的優位に立つ。「野党内1強」だ。

その立憲民主党が先頭に立って野党結集を目指すことに国民民主、社民、自由、そして共産の各党も異論はない。しかし最近、枝野氏ら立憲民主党首脳部の言動が傲慢に映ることが多くなった。先に紹介した「当面の活動方針」の5で、参院比例は立憲民主党で戦うと宣言したのも「立憲民主党は、鎖国政策か」という声が漏れる。