「差別書き込み」で公認取り消しが相次ぐ

枝野氏の考えも分からないわけではない。かつて、野党結集の名のもとで数々の合従連衡、党名変更が行われてきたが、大半は「数合わせ」「野合」「看板の掛け替え」などと酷評されて失敗に終わっている。安易な共闘はむしろマイナスに働く。だから、共闘は参院選では1人区などの限定的にとどめ、あとは「安倍1強」に対峙するための緩やかな連携にとどめようというのが枝野氏の基本戦術だ。

ただ、連携しなくても、そこそこの議席獲得が見込める立憲民主党と、共闘なくしては党の存亡の危機に直面する他党とは危機感が違う。そこでいがみ合いが生まれる。

しかも立憲民主党が最近、エラーが目立つのも他の野党をいらだたせる。

参院比例の目玉候補の1人として擁立を決めていた弁護士の落合洋司氏が、SNSに韓国などに差別的な書き込みをしていたとして公認を取り消した。同党は3月、神奈川県議選に擁立を決めていた新人候補も同様の差別的ツイートをしてきたことが判明して公認を取り消している。

「何でも反対」路線は国民から失望され始めている

差別やヘイトスピーチの類いは立憲民主党が最も非難するテーマの1つ。自党の候補の書き込みを見逃してしまったことは、危機管理能力の拙さを露呈した格好だ。

この他、国会での「何でも反対」路線は国民から失望され始めているのも否定できない。

枝野氏と自由党共同代表の小沢一郎氏との関係も悪化している。民主党政権のころまで2人は天敵と言ってもいい関係だった。2017年の衆院選後、小沢氏が枝野氏に熱烈ラブコールを送り、一時、2人は急接近した。しかし、枝野氏が野党結集に慎重であり続けていることに小沢氏は怒りを募らせ、かつての天敵に逆戻りしつつある。

その延長線上で小沢氏は、玉木雄一郎代表と会談を重ね、国民民主党との合流で動いている。枝野氏との関係改善は難しいと悟り、交渉相手を玉木氏に切り替えたのだ。