ニッチな世界でも、自分の好きなことを発信すべき

「テレビや雑誌で紹介されるオシャレなキャンプの様子より、キャンプに行くついでに記録したような僕のキャンプ映像を見たがる人が意外とネットには多いんです。ほぼ自己満足の映像を自己流で編集して流しているだけなのに。これには僕も驚きました。この経験から思うのは、何が当たるかは誰にもわからない、とにかく何事もやらなきゃわからないということです」

YouTubeの再生回数の多いヒット動画の中には、いろいろな種類のセミの鳴き声をただ撮影したものもあるという。撮影者はセミ好きの一般人。ヒロシさんが「自分の好きなキャンプに行ったついでに撮ってネットにアップした」のと同じだ。それが結果的に想定外の副収入につながることもある。

「お金稼ぎが主眼になってしまうと話が違うのですが、今の時代、発信するのは動画のほか、ブログ、ツイッター、インスタグラムでもいい。副業が解禁されつつある今、ビジネスパーソンの皆さんも自分が好きなこと、気になることを無理のない範囲で始めてみる。種をまいてみる。運よく芽が出たら、そこに集中して力を注げばいいのです」

勤務先など集団や組織に属していたら「何をするか」は自分では決められない。上司や会社の決済やGOサインが必要だ。それには想像以上に多くの時間がかかる。一方、趣味や遊びなど個人で動く際は、すべて自分で決められる。何をするかしないか、即断即決だ。好きなことに自分のペースで好きなだけ時間を費やすことができる。

「自分の『好き』なことがニッチなことでもコツコツ経験を積み、発信していけば、同志との出会いや思わぬビジネスへの展開など、相乗効果も期待できます。そんな楽しみが増えれば、本業の仕事がつらくても前向きに生きられるかもしれません」

ヒロシ
芸人兼ソロキャンプYouTuber
1972年、熊本県生まれ。九州産業大学卒。ピン芸人として「ヒロシです……」のフレーズではじまる自虐ネタで大ブレーク。お笑いライブなどの傍ら2015年3月よりYouTuberとして「ヒロシちゃんねる」を配信。自ら撮影・編集したソロキャンプ動画をアップして人気を集める。18年末、新著『働き方1.9 君も好きなことだけして生きていける』(講談社)を刊行。
(撮影=市来朋久)
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