統一地方選は3月21日、11の道府県知事選の告示で火蓋が切られた。中央では国会審議も終始与党ペースで「安倍1強」は揺るぎないように見えるが、地方での戦いは自民党内の足並みの乱れが目立ち、違った景色が見えてくる。選挙結果によっては「安倍1強」の終わりの始まりとなるかもしれない――。
ダブル選挙に関して、記者会見する大阪府の松井一郎知事(左)と大阪市の吉村洋文市長=3月8日、大阪市中央区(写真=時事通信フォト)

大阪の陣、最悪なら3連敗の悪夢も

統一地方選は都道府県、市区町村の首長選、議会選を4年に1回集中的に行う選挙。知事選は松井一郎知事、吉村洋文市長の辞職で「ダブル選」が行われることになった大阪も含めて11の道府県で行われる。

11知事選は4月7日に投開票が行われる。ここで自民党は苦戦する可能性がある。大阪は「大阪都」構想を巡り、大阪維新の会の代表である松井氏が仕掛けた選挙。当然、市長選に出る松井氏、知事選に出る吉村氏が連勝を目指す。

一方、自民党側は、知事選には副知事時代、大阪都構想に異論を唱えた小西禎一氏、市長選には参院選の候補者だった柳本顕氏をくら替え出馬させる「現状では最高の布陣」で陣形を整えたが、出遅れ感は否めない。

大阪では、統一地方選の後期日程(21日)に行われる衆院大阪12区補選も待ち構える。こちらは自民党の北川知克氏の死去に伴う選挙。北川氏のおいを擁立する「弔い選挙」で必勝を期したいところだが、もし知事選と市長選で連敗するようなことになれば、2週間後の衆院補選にも影響しかねない。

それを意識しているのだろう。3月15日、市長選出馬が決まった柳本氏の訪問を受けた安倍晋三首相は「府知事選と市長選を勝ち抜かないと次の補選にも響く」と危機感をあらわにした。大阪で3連敗するようなことになると、政権がぐらつくことを予感しているのだ。

他の10知事選を見通すと、1つのキーワードが浮かび上がる。「保守分裂」だ。