「会社に使われるだけの人」にならないために

ただし、これらの職場にあふれている資源(“宝”)の価値に気づかないままであれば、「会社に使われるだけの人」になってしまう。その価値に気づき、自ら主体的に動き出せば、「会社を使う人」「自ら輝く人」になれる。

さらに大切なことは、会社の仕事の質や効率も向上するということだ。それが取材した人たちから私がくみ取った、定年後の人生に表れる差の根源なのである。

日本のサラリーマンは会社と対峙(たいじ)しているのではなく、ある意味で会社と絡んで一体となっている人が多い。その関係のなかで会社を否定すれば、自分を否定することにもなる。会社とはあくまでも、共存共栄をめざさなければならないのだ。

楠木 新(くすのき・あらた)
人事・キャリアコンサルタント
1979年 京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。人事・労務関係を中心に、経営企画、支社長等を経験。勤務と並行して、「働く意味」をテーマに取材・執筆に取り組む。2015年3月定年退職。現在、神戸松蔭女子学院大学教授。『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『定年後』『定年準備』(いずれも中公新書)など著書多数。19年2月、『会社に使われる人 会社を使う人』 (角川新書)を出版。
(写真=iStock.com)
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