花粉情報を「仕事」で必要とする人も増えた
「日本は気象情報の先進国」といわれる。地震や台風などの天災が頻繁に発生し、狭い国土に1億2000万人もの人が暮らす国土の成り立ちもある。先進国の中でも国家予算は多い。
花粉情報も、個人の予防だけでなく仕事で必要とする人も増えた。かつては「花粉情報」と一括でくくられていたが、現在は「スギ花粉」や「ヒノキ花粉」と細分化されるようになった。それだけ花粉症状の原因実態が判明した結果ともいえそうだ。
進化を続ける「ポールンロボ」だが、実は「ブタクサ」などには対応していない。
「もともと春の花粉シーズンに向けて開発した経緯があり、ブタクサやヨモギといった秋に症状が表れやすい花粉には対応していません。でもお客さまのニーズも細分化してきたので、鋭意開発中です」(同社)
花粉症で悩ましいのが、人によって症状が異なること。たとえば同じ家で暮らし、その日は、一緒に買い物して外食するなど、ほぼ同じ行動をした家族やカップル(花粉症患者同士)でも、「今日は結構つらい」「私はそうでもない」という会話が交わされることだ。
何年も前から「国」も、環境省や文部科学省、厚生労働省が連携して、花粉症の実態把握や原因究明、対応策に乗り出すが、これはという決め手はない。個々人の予防とクスリを飲むなどの対応策に頼っているのが実情だ。
花粉症のせいで「お花見を楽しめなくなった」
これからの季節は、日本各地で桜の花が見頃を迎える。だが、花粉症の人同士では「(花粉症になる前に比べて)お花見を楽しめなくなった」という話も出る。
WN社が2年前の3月に前述の「ウェザーニュースタッチ」を通じて、「お花見」について調べた結果(有効回答数9733人)、「行く予定が約74%」だったのに対して、「行く予定なしが約26%」となった。
「『行く予定がない』と答えた人の理由としては、『花粉症なので外に出たくない』『仕事が繁忙期で』『人ごみが苦手』といった回答が多く挙がりました」(同社)
実際に、桜の木の下で「マスクをしながらお花見」をする人も多い。飲食の時はマスクを外して飲んだり食べたりする。確かに、心から楽しめなさそうだ。
とはいえ、かつては不可能だったことが実現できるのもIoTの未来像だろう。いつの日か、“花粉症の救世主”となる役割にも期待したい。
経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。