48.8%の人が悩む「花粉症」の対策とは

通勤電車の中や街を歩くと、マスク姿で表情がさえない人が目立つ。この時期なので多くは「花粉症患者」だろう。関東・関西地方のスギ花粉ピークは3月上旬といわれたが、スギ花粉の後は、ヒノキ花粉の飛散が増え、5月上旬まで花粉症の人にはつらい日々が続く。

花粉症の患者数は正確なデータが少ないが、2017年12月に東京都が発表した数値では、都内の「スギ花粉有病率は推計48.8%」だった(平成28年度・花粉症患者実態報告書)。

各業界では「予防用のマスク」や「花粉症に効くといわれる食品」などの開発が進む。気象情報大手のウェザーニューズ(以下WN社。コンテンツ名は「ウェザーニュース」)からも新商品が登場した。

約1000カ所で「飛散量」を測定

「ポールンロボ」という、ヒトの顔を模したIoTの円形ロボットがある。

WN社が開発した花粉観測機で現在7代目。2005年に初代を開発して以来、代を重ねるごとに性能は進化した。2019年に本格稼働した最新型では、専用アプリを使えば1時間ごとの飛散量が計測できる。ロボの目の色が、花粉の量によって5段階に変化するのも特徴だ。

「ポールンロボ」の概要。目の色で花粉の量を知らせる(画像提供=ウェザーニューズ)

「現在は全国で約1000カ所に設置され、計測結果は当社のサーバーに1分ごとに送られます。ポールンロボを設置される方を“さとおや”と呼んでいますが、北は北海道から南は鹿児島県まで。一般家庭、企業もあれば、学校や医療機関もあります」

ウェザーニューズの執行役員(BtoS事業コンテンツ運営主責任者)の森田清輝氏はこう話す。もともと宮城県石巻市出身で、祖父が漁業関係者。少年時代から海の状況など気象情報に興味を持ったという。入社以来、気象情報のコンテンツ設計・製作に携わり、同社が放送する「ウェザーニュースLiVE」のお天気キャスターも務めた。

ウェザーニューズの森田清輝氏。同社執行役員でBtoS事業コンテンツ運営主責任者を務める(撮影=プレジデントオンライン編集部)

「ポールンロボを置いてくださる方には条件があり、花粉症であることもその1つです。さとおやの中には、耳鼻咽喉科医院もあります。生活圏内の花粉飛散量を知ることで、患者さんの診療につなげる側面もあるのでしょう」(森田氏)

ちなみに場所代・設置代・通信費は自己負担だという。実は、同社の強みは全国各地にいる“サポーター”だ。これまでも「雲の様子」などを送信してもらいデータ蓄積を続けてきた。