研究する中で出会ったのが、フランクル『夜と霧』でも知られるナチスドイツのユダヤ人強制収容所で、過酷な収容体験を乗り越えた人たちが共通して持っていた感覚=「首尾一貫感覚」だった。
「統計的にもストレス反応に有意な影響があった」というこの感覚は、具体的には以下の3つからなる。①把握可能感=自分の置かれた状況や今後の展開を把握できていると感じる。②処理可能感=自分に降りかかっているストレスや障害に対処できていると感じる。③有意味感=自分の人生に起こるどんなことでも意味があると感じる。
これらの感覚は、先天的なものではなく、後天的に高められるのが特徴だという。本書では「のび太の処理可能感が高いわけ」「ドラクエ的成長術」などわかりやすく納得できる説明を駆使。「しあわせ日記」「自分物語を整理し直す」といった、誰でもすぐに始められる実践法も紹介している。
「ブラックな仕事や病気、災害などでストレスを抱えたり将来を悲観したりする方々にとって、『自分らしく生きる』ヒントになれば幸いです」
舟木彩乃
ストレス・マネジメント研究者
一般企業や国会議員秘書などを経て、現在は筑波大学大学院博士課程在籍(ヒューマン・ケア科学専攻)。
ストレス・マネジメント研究者
一般企業や国会議員秘書などを経て、現在は筑波大学大学院博士課程在籍(ヒューマン・ケア科学専攻)。
(撮影=尾関裕士)