「アジア人が少ない」というのもポイント

【神谷】留学先としてはカナダやアメリカが定番だと思うんですけど、私は留学先を決める時、先輩から「カナダの有名な大学は、日本人も含めてアジア人がかなり増えているので、異国感を味わいたいなら他の国も考えてみたら?」と言われました。ドイツは、英語も通じて、先進国で、比較的費用が安くあがる、という点に加えて、アジア人が少ないのもポイントでした。

「若者と旅」座談会に参加した大学生たち。(撮影=プレジデントオンライン編集部)

【高貫】バイトの友人で、タイやインドに留学した子がいます。

【原田】インドは珍しい。英語は学べるけど、かなり聞き取りにくいインド英語を学ぶことになっちゃうね。

【高貫】本気で語学を学びたいわけじゃなかったので、そこそこ英語を学べて、何より安く留学ができる所を選んだそうです。カレーも好きだったので良いかなと思ったとか。欧米だとレベルの高い留学生が本気で勉強してるイメージだったので避けたそうです。

【原田】インドに行ったことのある日本人の駐在員の多くが言うけど、とにかくカレー味の料理が多いから、インドに長くいるのは食生活の面から日本人にはハードらしい。日本人はインドでみんな食べ物で苦しんでいる。しかし、それを理由に行く子もいるんだね。

タイ留学も、もう少し理由を知りたいな。英語が勉強できるわけじゃないし。食べ物はおいしくて、人は優しいけど、タイ留学の動機は何なんだろう?

【高貫】タイ料理が好きで、せっかく留学するなら食事も楽しめるところがいいと思ったそうです。また、留学費用をすべて自分で工面しなければいけなかったため、安いアジア圏が都合がよかったそうです。

【原田】2人とも安さと食べ物で留学先を決めているんだね。語学と学びたいことで主に留学先を決めていた時代とは大違い。まるで旅行先を選ぶかのような選択基準だね。

エントリーシートで「留学先」の欄を埋めたい

【今野】私は私はハワイとバンクーバーの語学学校に2カ月ずつ留学してたんですけど、私と違うクラスの日本人の子は日本人同士でずっと固まっていて、授業を休んで遊び回ってました。海でバーベキューとか。彼女たちは、日本であらかじめ友達と約束して「同じ語学学校に入ろうね、同じ寮に入ろうね」って示し合わせてたんです。こうなると本当に友達と旅行に来てる感覚ですね。短期留学だとそういう旅行目的の子も結構います。

【原田】ハワイへの「留学」は、たしかにここ数年、学生からよく聞くようになってきたね。

【神谷】留学斡旋の文言で「シアトル・マリナーズの試合が見られます」「フロリダのディズニーワールドに行けます」みたいな触れ込みは、わりと聞きます。

【原田】昔と比べて、英語以外に留学にいろんな目的ができているんだね。1カ月くらいの短期留学はここ5~6年、若者の間で急に増えている実感がある。そんな短期間では、ろくに英語も学べないだろうと思っていたけど、旅行としてこぞって行ってるんだね。

【神谷】あと就活の際、エントリーシートに「留学経験」という欄のある企業を多くみかけます。そこを埋めるため、というニーズもあるんじゃないかと思います……。

【原田】なるほど! 就活時のエントリーシートのために、これだけ「短期留学」に行く若者が急増しているんだね。ちなみに、短期留学っていくらかかるの?