AI面接、就活用バス運行、大規模イベント開催……。今、大学の就職支援が過熱している。その中で特に支援が充実した就職課を調査。独自に10校を選出した。

なぜ就職支援が、充実してきたのか

昔はあまり目立たない存在だった大学の就職課。それが今や、多くの大学が「キャリアセンター」を標榜し、就職支援に力を入れるようになった。いつから変わったのか。大学通信常務取締役・安田賢治氏は、「支援活動が特に充実するようになったのは、2008年9月のリーマン・ショック以降のことです」と語る。

学習院大学●この日のために海外から駆けつける卒業生もいる。

「新卒の就職がきびしくなり、同時に高校でもキャリア教育が進んだことで、『どこに入れば就職ができるか』という観点から、学生が大学を選ぶようになりました。学生は大学に就職の面倒を見てくれることを期待し、それに応えるべく、大学も支援を手厚くする状態が続いています」

求人票が張り出され、卒業生による企業レポートが読めることが数少ないメリットだったのは昔の話。今はほとんどの大学が、面接指導、エントリーシートの添削といった個別対応から、学内合同企業セミナー、大学主催インターンシップなどの企業と連携した活動まで、きめこまかい支援を続々と展開している。就職みらい研究所主任研究員・増本全氏によれば、最近目立つのが、「保護者に向けた説明会」だという。

「少子化や社会構造の変化も背景に、保護者は自分の子どもの就職に対する関心が強く、年々、説明会に参加する保護者が増えています。ただし親が『知らないから、やめときなさい』という中に優良企業が存在するというケースもあるため、就活の現状や、かつての就職環境との変化から伝えることが多いですね」

そしてもうひとつのトレンドが、低学年からのキャリア支援だ。キャリタス就活編集長・駒形一洋氏は次のように説明する。

「この数年、就職率は高い数字を維持していますが、ミスマッチや離職率の高さといった問題もあり、学生の質に物足りなさを感じている企業も少なくありません。そこで各就職課は、早い段階から社会人として適した人材を育成していこうと、1~2年生に向けたセミナーやインターンシップなどに力を入れている。弊社の調査によれば、7割以上の大学が行っています」