――工藤監督は3軍の監督もやってみたいと発言されているそうですが、なぜでしょうか。

私は選手がよくなっていく姿を見るのが好きなんです。育成の子たちが、プロとしてどうすれば生きていけるかというところを教えるのが好き、ということですね。そこには、選手に長く野球をやってもらいたいという思いもあります。私自身は現役を29年やらせてもらったわけですが、その中で仲間が辞めていくのは寂しかったですし、自分でも後悔だらけの野球人生でした。まだまだできたことはあったはずだという思いは残っているんです。

2019年のスローガン、「奪Sh!(ダッシュ!)」には、リーグ優勝奪還と日本一への想いがこもる(2018年12月21日、ヤフオク!ドーム)。(時事=写真)

若い選手にデータやトレーニングに関する正しい知識を与えて、若いうちからしっかりと科学的根拠に基づいた指導をしていければ、もっと成長してもっと長く現役をやれる選手も増えるでしょう。

私は現役時代に肩を故障して、医師には「もう投げられるようにはならないよ」と言われました。野球ができないということが何よりも辛かった。怪我をしにくい体になって野球さえできていれば、諦めなければ復活するチャンスというのは必ずあると思いますから。

福岡ソフトバンクホークスという球団に入った選手には明らかな成長をしてもらいたい。たとえホークスでは上に上がれなかったとしても、「ホークスの選手はレベルが高いから、うちで雇いたい」と他球団から思ってもらえるようになってくれたら嬉しいですね。

日本シリーズ中に、オフの練習を計画

――プロ野球はシーズンオフも含めて、1年間をどう過ごすかが重要かと思います。

そのとおりです。私の場合、現役時代はシーズンオフもトレーニングを欠かさずに、キャンプが楽だと感じるぐらいに調整していました。今はシーズン終了時に、コーチを通じて選手一人ひとり個別にシーズンオフに取り組むべき課題を出しています。ですので、シーズン終盤には試合と並行してコーチと一緒に、選手全員分の課題とトレーニングメニューをつくりこんでいきますね。

――日本シリーズを戦いながら、監督は翌年のチームづくりをスタートしていたわけですね。

シーズン終了後に考え出すようでは来シーズンに間に合いません。チームが勝ち続けるためには、何が足りないのか、どう変わっていかなくてはいけないのか、だからこのトレーニングが必要なのだと、選手がきちんと理解していることが大切ですから。チーム内の競争原理が働く中で、選手がいかにモチベーションを上げ、自分をマネジメントし、さらに価値を高めていくのか。その道筋を考えるのが私たちの仕事です。監督とコーチ陣が先の先を見据えておかないと。選手たちは目の前の試合、目の前の1打席、目の前の1イニングに集中していますから。