若い世代をリスペクトしないと未来はない

体力や気力は下がっていったとしても、これまでに培った経験や知識で「やりくり」することで、まだ上がっていけると思っています。

年齢を重ねても、能力は上がります。ただし、若い世代の技術や考え方を取り入れて、自分を変えていくことが条件です。若者をガンガンにリスペクトするくらいオープンな気持ちを持つことが、最前線に居続ける秘訣と言えるのではないでしょうか。

36歳になろうとするいま、身体のパフォーマンスは年々落ちてきています。そのうえ、練習量も少なくなってきています。若さが失われると、圧倒的な才能やパフォーマンス、感覚だけでやれるゾーンからは抜けてしまうでしょう。そうなったときに、帳尻合わせをすることになります。ただ最近思うのは、圧倒的な伸びがなくなって、いまあるもので「やりくり」するようになってからが、人生はおもしろいということです。

今あるもので「やりくり」するのも面白い

格闘家やプロレスラーは、どういう技をどういうタイミングで繰り出すかを考えながら試合を組み立てていきます。「どういう入りでやろうか」「どういう距離感でやろうか」と考えるのですが、選択肢が無数にあるよりも、制限がかかったほうが、断然おもしろい。

『ストロング本能 人生を後悔しない「自分だけのものさし」』(青木 真也著・KADOKAWA刊)

練習もそうです。体力に任せて量で勝負するよりも、どうやってやったら効果があるかを考えるようになってからのほうがおもしろい。その「やりくり」がたまらない。やりくりでできるようになると、すごく冷静ですし、再現性も高い。そこに「理屈」が生まれるのです。理屈とは「物事の筋道」で、やはりそれはあったほうがいいわけです。

試合の組み立て方や練習に年齢相応の工夫を加えるのは、格闘技をやり続けるためです。格闘技はやり続けたら最強です。おじいちゃんになってもやり続けていたら、グレイシー一族のように伝説になっていきます。やればやるだけ得なのです。辞めたら損だから辞めません。

「辞めたら損だ」と胸を張って言えるものに出会えたらそれだけで幸せです。僕にとっての格闘技がそうであったように、あなたにもきっとあるはずです。人生レベルで辞めたら損だと思えるものをぜひ見つけてみてください。

(写真=iStock.com)
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