平均的なスマートフォンに使用されるセラミックコンデンサのチップ面積の合計を1とすると、先のテスラ・モデル3では120にも達する。供給面では、製造装置の供給メーカーは限られており、容易に生産能力を拡大できない。そのため、車載分野ではタイトな需給が継続する可能性が高い。

日本電産にとって広がる商機

セラミックコンデンサや車載半導体以外では、モーターの分野もxEVや自動運転進展の恩恵を受ける可能性が高い。例えば、日本電産はxEVの駆動用モーターを中国自動車OEMから受注し、今年から量産を開始する予定である。現在、xEVの駆動用モーターの大半は自動車OEMの内製だが、内燃エンジンに比べれば差別化できる要素は少ないとみる。今後xEV市場が拡大すればモーター専業メーカーに、アウトソースするOEMや自動車部品メーカーがでてきてもおかしくない。

さらに、自動運転が高度化すれば、ブレーキなどの分野も現在の油圧式からモーター駆動の電動式に徐々に切り替わっていく可能性がある。この分野は電動パワーステアリング(EPS)用モーターと非常に似たモーターが使用されるとみられるため、EPS用モーターでトップシェアを誇る日本電産には新たな商機となる可能性がある。

短期的にはスマートフォンの需要停滞が、電子部品各社の業績に逆風となる可能性は高い。自動車分野は欧州や中国で販売が弱含んでいるためリスクがあることは事実である。しかし、xEVやADAS/自動運転など自動車そのものの構造的変化を反映した成長はむしろ加速し始めている。この成長の波に載れるかどうかが中長期的に明暗を分けることとなろう。

平田 真悟(ひらた・しんご)
UBS証券 調査本部 株式調査アナリスト
早稲田大学政治経済学部経済学科卒、ブリストル大学で経済学修士号を取得、2007年UBS証券入社。自動車部品・タイヤ、小売セクターを経て電子部品セクターを担当。CFA協会認定証券アナリスト
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