電子部品各社の株価が冴えない
昨年9月以降、電子部品各社の株価が冴えない。米中貿易戦争やマクロの不透明感に加え、iPhoneの販売不振が市場参加者の懸念に拍車をかけている。消費者にとってのスマホの機能進化がインパクトの小さなものになっており、買い替えサイクルが長期化している。
1月18日には、電子部品の優良企業である日本電産が、業績予想を修正し、一転減益となる見通しを発表した。その理由について、永守重信会長は「(中国市場で)尋常ではない変化が起きた。ガタンガタンと受注出荷落ち込み、私の体験でも見たことない」と話した。こうした状況をふまえると、業界環境はしばらく厳しいと言わざるを得ないだろう。
ただ、自動車分野においては成長が加速しており、特にxEV(電動車両)シフトやADAS(※)/自動運転の分野では日本の電子部品メーカーが恩恵を享受する可能性が高い。
※先進運転支援システム(アドバンスド・ドライバー・アシスタンス・システム=advanced driver assistance system)
スマートフォンに対する需要が減少
電子部品は最終製品に組み込まれて市場にでる。当然、その最終製品の動向に大きな影響を受ける。ここ10年ほどの間、電子部品に対する需要を引っ張ってきたのが、iPhoneをはじめとするスマートフォンであった。
iPhoneの減産に象徴されるように、グローバルでみてスマートフォンに対する需要が減少している。弊社では毎年2回、約7000名を対象にスマートフォンの購買意欲調査を実施しているが、昨年10月時点の調査では対象となる米国、英国、中国、ドイツ、日本のすべての地域において購買意欲が前回調査に比べて低下していた。
全体の購買意欲が低下しているだけでなく、「最新機種は高いから古いモデルでもいい」と考える消費者の割合も増えている。(図表1)は、iPhoneを向こう12カ月に購入したいと回答した消費者に対して、「新機種」「1年前のモデル」「さらに昔のモデル」のいずれを購入したいかを調査した結果である。前回調査に比べ、新機種を購入したいと回答した消費者の割合が著しく低下していることがわかる。