「小さな一歩」から、未来はつくられていく
【IDEO野々村】「このプロジェクトの最中、僕たちはある高校で『どうすれば空を活用して、天候や災害に影響されない畑が作れるだろうか』と問いかけてみました。高校生の柔軟な発想を知りたかったからです。
高校生は、短い時間でいろんな素晴らしいアイデアを出してくれました。でも残念だったのは『だけど、日本の会社はどうせやらないよね』と諦めのような言葉を漏らす子がいたことです。中には、『グーグルだったらやってくれるかもしれないな』と言った子もいました。
僕はそんな彼らに『実は今、日本のJAXAの研究者の方々もみんなと同じようなことを考えているんだよ』と伝えました。その瞬間の彼らの驚きと喜びの歓声は、今でも忘れられません。彼らの輝いた顔は今でも目に焼き付いています。
技術よりも人にフォーカスして出されたアウトプットは、一朝一夕に実現するものではないかもしれません。でも、想いを言語化して視覚化することは、必ずその実現へのファーストステップになると信じています。」
月面着陸に成功したアームストロングは、「これは人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ」と語った。
若手有志からスタートしたプロジェクト「Future Blue Sky(フューチャーブルースカイ)」。この小さな一歩も、未来に続く大切な一歩となるに違いない。
(撮影=宇佐美雅浩)