ケアプランは月の途中でも書き換えられる
限られた予算で効果的なサービスを受けるためには、ケアマネジャー(ケアマネ)にいちばん困っていること、改善したいことを伝えて優先順位の高いものを中心にケアプランをつくってもらおう。「子どもの仕事の関係で、土曜日に通所サービスを入れてほしい」など、具体的な要求を伝えるといい。また、ケアプランは必要があれば、月の途中でも書き換えてもらえるので、「急な出張が入ったので、ショートステイを入れてほしい」など、そのつど、希望を伝えることも大切だ。
このほか、介護保険は福祉用具のレンタルなども給付対象となっているが、杖や歩行器などは借りても使われていないことも多い。給付を無駄にしないためには、本当に必要かどうかを考えて、不要ならその分を他の給付に回すようにしよう。
介護費用が高額なときに利用したい制度
介護費用が高額になったときに、利用したいのが「高額介護サービス費」。1カ月の自己負担額が一定ラインを超えると払い戻しを受けられる。たとえば住民税課税世帯の1カ月の限度額は4万4400円。年金収入が280万円以上の自己負担割合は2割なので、要介護5で30万円分のサービスを使った場合は月6万円を支払うが、高額介護サービス費を申請すると、超過分の1万5600円が払い戻される。高額介護サービス費は、最初に申請すると、翌月から自動的に市町村で処理してくれる。医療費も高額になった場合は、年間の介護費と医療費を合わせて払い戻してもらえる「高額医療・高額介護合算療養費制度」もあるので加入医療保険に問い合わせてみよう。
身体障害者手帳の交付を受けられれば、等級に応じて税金の減免や公共交通機関の割引等も受けられるが、親の介護で手帳の有無にかかわらず、受けられる可能性があるのが「高齢者の障害者控除認定」だ。
「扶養家族に寝たきりや認知症の高齢者がいる場合、たとえば寝たきりの期間が6カ月以上続いていて、排便に介護が必要、あるいは認知症の程度に応じて、市町村から『障害者控除対象者認定書』を発行してもらうと、障害者控除や特別障害者控除が受けられます。障害者控除は、所得金額から、所得税は27万円、住民税は26万円、特別障害者控除では40万円と30万円がそれぞれ控除されるので、介護が必要な老親を扶養する現役世代には大きな節税になります。認定の条件は市町村により異なり申請が必要なので、親御さんの住む自治体に確認してみましょう」(おちさん)
同居している親を介護している場合、「世帯分離」をすると負担が抑えられるケースもある。