毎年、じっくり読み込む本を一冊選ぶことにしている。今年選んだ本書は、地中海を舞台に、歴史というものを1000年単位で動く地理的要素、中期的な経済的要素、短期的な政治的要素の3つに分けて考察している。それぞれの要素のつながりに対する分析が非常に面白い。
戦争中、フランス人将校としてドイツの捕虜収容所に収容された際、記憶だけを頼りに書き続けた著者の執念に深く心を打たれた。経営という仕事は非常に孤独なものだが、こういったスケールの大きな本を読むと、小さなことに心揺らぐ自分が恥ずかしくなる。今のように乱世と言われる時代も、歴史の大河から見れば、ほんの一瞬のことなのだと気づかせてくれる。