高速道路が、休日1000円に値下げになると、ホテルに連泊すれば駐車場が無料になる宿泊プラン。プールのリニューアルに合わせ、プールを利用後、客室で寛ぐ日帰りプランなどを打ち出す。

「海外に関してもEコマースへ移行し、エンド・ユーザーと直接対応する。6月から、日英2カ国語で掲載していたホームページを多言語化し、韓国語、中国語(繁体字・簡体字)を加え5カ国語での掲載を開始しました。約3割を占める韓国、台湾、香港のお客様が、団体より個人でホテルを手配されるケースが増えたことと、7月1日の中国の富裕層に対する個人ビザ解禁により、中国からの個人客が今後増えることを予想しました」と営業戦略室企画広報支配人の斉藤潤子さん。

自らの判断で決める新たな国内外の顧客層に対し、ホテル側も市場状況に合わせて柔軟な提案や企画を行ない、両者のニーズが合致したら、利用が成立する。

日本に進出した外資系ホテルが一様に苦戦しているのも、実はこのフレキシビリティとスピード感を克服できていない点にある。グローバル・チェーン化した外資系ホテルでは、全世界サービスの均一化が要求され、リッツ・カールトンならリッツ・カールトン流のどこに行っても同じ「金太郎アメ」の様なサービスを細かなマニュアルを通じて行なう。メリットもあるが、個別ホテルで勝手な変更ができず、大きく変化する顧客を前にして、逆に足かせになってしまっている。

京王プラザホテルでは、働く社員の満足度調査(ES)も定期的に行なっており、それが変化へのスピード対応に加え、モチベーションを上げる要因となっている。暗い時代にあっても、スタッフが本心からの笑みを見せるホテルには、客が集まっているのだ。

※すべて雑誌掲載当時

(相澤 正、本田 匠=撮影)