音声で家電やデバイスを操作できるスマートスピーカー(AIスピーカー)。その機能の本質は「音声操作」だけにあるわけではない。ITガジェットジャーナリストの土屋亘氏は「AIスピーカーは人間関係を滑らかにする。私はパートナーとの関係修復に役立った」という。どういうことなのか――。

ガジェットの真価は「ユーザー体験」の変化にある

あなたはスマートスピーカー(AIスピーカー)を使っているだろうか。

アマゾンやグーグルの新商品が日本でも発売され、2017年はスマートスピーカー元年と言われた。今年1月に米ラスベガスで開催されたテクノロジーの世界最大級見本市「CES」でも、世界各社がスマートスピーカー搭載のさまざまな家電を発表していた。今後、一般家庭にも普及していく可能性は十分にある。

その一方で、現在ユーザーが親しんでいるPCやスマートフォンをはじめとするグラフィカルなユーザーインターフェース(GUI)から、スマートスピーカーを代表する音声ユーザーインターフェース(VUI)に移行するのはそう簡単なことではないだろう。

では、スマートスピーカーが日本で普及するためには何が必要なのか。それは「ユーザー体験の変化」を体感するための手だてを知ることだと筆者は考えている。スマートスピーカーに限らず、最新ガジェットの真価とは「利便性」ではなく「体験」にある。

そこで筆者が日々どういった使い方ができるのかを模索する中で、印象に残った3つの使用法を紹介したい。「こんな使い方ができるのか」と知ってもらうことで、スマートスピーカーの新たな魅力を知るきっかけになればうれしく思う。

土屋氏のスマートスピーカー(グーグルホーム)。インテリアにもよくなじむ
▼使用法(1):パートナーとの関係修復に役立つ

スマートスピーカーは人間関係を滑らかにする。

筆者は彼女とのけんかの際、スマートスピーカーを活用して仲直りをした。パートナーと一度険悪なムードになったら、それを払拭するのは容易ではない。ましてや家にいるときなど、同じ空間にいては逃げ場がない。「一緒に笑えるテレビがたまたまやっている」「急な仕事の連絡がある」などのアンコントローラブルなことが頼みの綱になってしまう。

そこで筆者は雰囲気を変えるための「装置」としてグーグルホームを使うことにした。流れとしては下記のとおりだ。

(1)筆者が家でパートナーとけんかする
(2)険悪な雰囲気でお互い何もしゃべらず10分が経過
(3)筆者がグーグルホームに「オッケーグーグル、○○にごめんねって伝えて」と話しかける
(4)するとグーグルホームが「○○さんごめんね。でもこの前土屋くん(筆者)は○○さんのこと本当に大好きって言ってたよ(おわびの気持ちを込めてあえて『さん』づけにしている)」
(5)○○さんは「なにそれ(笑)」と笑顔になって、雰囲気が和らぐ。すかさず筆者は今度は自分の言葉で「ごめんね」と言う。○○さんからは「わたしもごめんね」と返事がくる