活用したい契約者貸付制度
いずれにしても借金だから返済義務が生じる。その点で注意が必要なのが、クレジットカードの「キャッシング」なのだと廣木さんは指摘する。
「現役時代にクレジットカードをつくって、そのまま定年後も持っていると、何歳になってもキャッシングができてしまいます。それに金利も高く、ある高齢の方は上限の50万円までキャッシングをして、亡くなってから届いた返済の請求予定額は金利分を含めて98万円にもなりました。安易に使わないようにしたほうがいいでしょう」
そして廣木さんが「銀行などの金融機関で借り入れをする前に、ぜひとも知っておいていただきたい」という制度が、生命保険の「契約者貸付制度」だ(図2参照)。
「保険金額が1000万円の終身保険に入っていて、65歳払込時に累計で700万円を払込済みで、解約返戻金が600万円だったとしましょう。すると、その解約返戻金の約8~9割に当たる500万円程度まで借りられます。金利も契約時の予定利率によりますが、一般的に3.0~5.0%と低く抑えられています。死亡したときに残債があっても、保険金と相殺して返済することが可能です」
確かにそれなら、高い金利がつくキャッシングなどせずに、契約者貸付制度を活用したほうがいい。また公的機関による融資で、生活再建に必要な生活費用を貸し出し、保証人がいれば金利が0%の「生活福祉資金貸付」などもある。よく調べてから、賢く借り入れをしたい。